宇都宮専務:あと、ハンケさんは、「ゲームを家の外に持ち出して、健康的に遊べるようなものにしたい」「ゲームをしている子供を親が見た時に、こういうふうに遊んでくれるなら、うれしいと思えるような方向にしていきたい」、とも仰っていて。これも、岩田さんや石原がずっと言っていたことなんですね。

 なので、ハンケさんが「岩田さんに会いたい」と言った時、「(岩田さんとハンケさんの2人は)絶対に合うと思いますよ」という話を石原として、それでハンケさんに岩田さんをご紹介しました。そこでは、波長が「ばしっ」と合っていましたね。

その後、岩田さんや石原さんは、どうプロジェクトにかかわっていったのでしょうか。

宇都宮専務:岩田さんはこのプロジェクトをずっと陰ながらサポートしてくれていたというか、個人的には(任天堂の社長が)岩田さんじゃなかったら、たぶんこうはなっていないと思います。

 石原と岩田さんの間では、かなりのやりとりをしていたとも聞いています。ですが、岩田さんから具体的にどうこうという指示はなかった。むしろ、ないことがすごいことだな、と思いました。

「とんでもないことになったぞ」

ポケモンの石原恒和社長は昨年9月、ポケモンGOの発表会で「岩田さんは誰よりもこのプロジェクトを実現したいという思いが強く、一番の推進役だった」と語っていた
ポケモンの石原恒和社長は昨年9月、ポケモンGOの発表会で「岩田さんは誰よりもこのプロジェクトを実現したいという思いが強く、一番の推進役だった」と語っていた

宇都宮専務:石原は、「敷居を下げて間口を広くする」「ポケモンを捕まえるだけでいい」と最初からずっと言い続けていました。石原から見ると、ポケモンGOは「ポケモンチャレンジ」の延長線上であり、ポケモンを現実世界で捕まえるということ自体が面白い、それで十分なんだ、というところから始まっている。

 もちろん細部を見れば、ナイアンティック側がすごく考えてくれて、いろいろなアイデアが加わっていきました。けれども、「敷居を下げて間口を広くして、捕まえる遊びを中心に構成する」という全体の方向性は、最初から最後まで貫くことができたと思います。

 かくしてグーグルと始まった協業は、2014年末の契約から数カ月後に大きな転機を迎える。ナイアンティックの独立だ。

 グーグル社内で「ナイアンティック・ラボ」を率い、イングレスを展開していたハンケCEOは2015年8月、「ナイアンティック」としてグーグルから独立すると発表。同年10月には、グーグル、任天堂、ポケモンの3社から最大3000万ドル(当時のレートで約36億円)の出資を受け入れると発表した。

 「ナイアンティックは、設立当初からグーグル社内でも自立した組織。いつでもスピンアウトできる仕組みの中で、運用されていた。一緒に製品を作り、この先の成功を共有するパートナーの皆さんに出資してもらえれば、パートナーシップをいっそう固めることができると思った」。ハンケCEOは独立と増資の意図をそう語る。

 だが、この独立計画に面食らったのが、ポケモン側。水面下では曲折があったと宇都宮専務は明かす。

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