2014年4月1日、グーグルは動画サイト「ユーチューブ」にウソのような、しかし今となれば本気に思える動画を投稿した。

 「Google Maps: Pokemon Challenge(グーグルマップス:ポケモンチャレンジ)」と題されたその動画は、冒険家がスマホ片手に世界中のあらゆる場所でポケモンを捕まえるというもの。グーグルマップを頼りにポケモンの生息地へと近づき、スマホのカメラをかざすと、そこに潜むポケモンが画面に現れる。「モンスターボール」を投げて命中すると見事、ポケモンをゲット。ポケモンGOのコンセプト、そのものを映像化したようなものと言える。

 グーグルマップのチームは、動画だけではなく、実際に遊べる簡単なゲームも用意した。モバイル版のグーグルマップで「ゲームをはじめる」を選択して、マップ上のどこかに潜む151種類のポケモンを探すというもの。グーグルがポケモン側に持ちかけたところ、「公式」のお墨付きを得て実現。ゲームは2日間の期間限定だったが、これを機に両社は急速に近づくことになった。

2014年4月1日に米グーグルが投稿した動画には、ポケモンGOのコンセプトが示されていた(ユーチューブより)

「ポケモンチャレンジ」は期間限定のエイプリルフール企画でしたが、ここからどう進んでいったのでしょうか。

宇都宮専務:ポケモンチャレンジを見た石原(恒和・ポケモン社長)が、「これはすごく面白い」と。映像からプロダクト、企画をまとめあげた力まで、これはすごいと言い出しまして。そんな折に先方が来日されて、いろいろと話をさせていただきました。

 その時に、ジョン・ハンケ(現ナイアンティックCEO、当時は米グーグル副社長)さんもいらして、実は「ナイアンティック・ラボ」という組織でイングレスというのをやっていると。位置情報を利用して何か面白いことができたらいいよね、と話が進んでいき、クリスマス前の2014年12月に本格的な開発に向けて契約書にサインをしたのを覚えています。

「岩田さんじゃなかったら、こうはなっていない」

ハンケCEOは、当時、任天堂の社長だった岩田聡さんとも会っていますよね。

宇都宮専務:まず、米国へ行って、ハンケさんの話をいろいろと聞いているうちに、この人の言っていることは岩田さんや石原の言っていることに近いぞ、と思っていたんです。

 1つは、課金をヘルシー(健康的)な水準にとどめたい、と岩田さんは言っていたんですけれど、ハンケさんも最初からそう言っているんですね。特定のユーザーがどんどんお金を払ってしまいたくなるのをどう食い止めるか、みたいな話を毎回するんです。