宇都宮専務:最終的に、「僕たちとしてはこういうのを作りたいよね」と言ってきた通りになったのですが、事前に少数のユーザーさんでテストをした時に、結構、辛辣なご意見をいただくことが多かったんですね。「ゲームになってないんじゃないの」とか、「この完成度でどうなの」とか。

 テスターさんには「Ingress(イングレス)」のユーザーも多かった。僕らとしては「(ゲームへの)敷居を下げて間口を広げたい」という思いでやっていたので、イングレスのユーザーさんが「面白みに欠ける」と感じるのは想定していました。イングレスの方が、遥かに深みのあるゲームですから。

 ただ、実際にいろいろ言われると、やっぱりすごくへこみます。ほかのゲーム業界の関係者の方々からも批判的なお言葉をいただくことがあって、そのたびに落ち込んで帰るという(笑)。

 ポケモン社内のチームメンバーも、どんどんと暗い感じになっていって、みんなで「うちの子供は(テスト版でも)すごい喜んでいる」とか、「うちの嫁が初めてゲームで褒めた」とか言い合うことで、自らを鼓舞していました。

コンセプトを示した「ポケモンチャレンジ」

それが、とんでもないことになりました。米国では配信直後から、あまりの熱狂ぶりに警察が注意喚起をするなどして、日本でも大きく報じられました。

宇都宮専務:最初は報道があっても、「なにこれ、本当なの?」と、なかなか現実として捉えることができなくて。ただ、「サーバーが大変です」みたいな報告は、どんどん上がってくるんですよ。

 あと、公園に人が行くようにと考えて開発していたのですが、皆さんが、ちゃんとそういうふうに遊んでくださっているというのが一つひとつ伝わってくるにつれ、「嬉しいね。けれども、とんでもないことになったね」という話をしていたのを記憶しています。

8月上旬の週末、東京・代々木公園にはポケモンGOを楽しむ“トレーナー”の姿がそこかしこにあった
8月上旬の週末、東京・代々木公園にはポケモンGOを楽しむ“トレーナー”の姿がそこかしこにあった

そもそも、ナイアンティックとの協業がなぜ始まったのか。ポケモンGOが生まれた経緯を教えていただけますか。

宇都宮専務:もともとポケモンGOのプロジェクトは、米国のグーグルさんと契約交渉するところから始まっています。それって、エイプリルフールの企画から始まっているんですね。

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