リニア単独ではペイしない

そうすると、リニア完成後の年間コストは、かなり重いのでは。ですから13年に会見で、山田(佳臣・元社長)さんが「リニアは絶対ペイしない」とおっしゃった。

宇野:私、いました。会見場の横に。たぶん、山田が言ったのは、単独のプロジェクトとして見たときには、5兆円のプロジェクトを回収するわけにはいかないですよと。やっぱり東海道新幹線と一緒に組み合わせて実現ができる。単独のプロジェクトとしてはペイしないんだと、そういうことを分かりやすく言ったつもりなんですけど、なかなかそういうふうに捉えてはいただけなくて。

しかし、リニアが単独でペイしないとまずいのでは。

宇野:東海道新幹線のバイパスとして二重系化することが会社としての大目的です。東海道新幹線の収益とミックスして、着実に債務を減らすことができ、収益の伸びが見通せるということが我々にとって最も大事。「それはできる」という判断をしたので、自己負担でやろうと決めたんです。土地を買って5兆円を投資して、それを回収するというような感じのものではないんですね。

財投が入ったことで大阪開通が、最大8年間前倒しになります。

宇野:財投が入っていないときの話は、名古屋まで開業して、減価償却費も立つし、収益も上がるので、借金を返していくと。5兆円ぐらいの借金を返していく。それで3兆円ぐらいに減らして、次の大阪へ着手する。そのときのタイムライン(間隔)は8年程度になるだろうと。それは大阪から見ると、「そんなに時間がかかってはたまったものじゃない」という話もいただき、国で経済対策という側面もあるので、財投を入れて8年分の前倒しをして、名古屋を開業した後、速やかに大阪の建設を開始してほしいと。3兆円を長期にお貸しいただくことで、それは可能ですということを話して、受けたということですけどね。

財投によって速やかに大阪へ着工するとなると、借金返済など、計画の見直しはどうなっていくのか。

宇野:当面の間、資金調達をする必要はなくて、その(財投)3兆円を使いながら名古屋の工事を進める。私どもの自己資金と3兆円を使いながらやっていく。そういう意味では、建設費がものすごくかかるとかがない限り、名古屋の開業時点では(債務負担が)軽くなっているということですね。

リニアができて東京~大阪が、東海道新幹線プラス1000円の料金だと、かなり使う人が多いと思います。東海道新幹線の需要が激減するでしょうし、位置付けが今と変わってくるのでは。

宇野:需要予測を私どもは国の指示を受けて、調査をやって報告したことがあるんですけど、そのときに置いた前提がプラス1000円という話です。実際にどういう料金設定にするか、開業が近づいた段階で、これは判断をしていく。ダイヤの話もまったく同じで、まだこれからです。

 輸送面について言うと、リニアは1時間に1万人といっていますが、東海道新幹線も大きいことは大きい。(1編成)1300人乗れますし、指定席も自由席もあって、かなりフレキシブル。リニアは定員制を考えています。そういうことを考えながら、料金をどう設定するか。あまり高くしすぎると、使っていただけなくなるし、今後の検討課題ということです。