近い残土置き場はだいたい埋まった

工事で発生した残土の処理問題があります。住民の方も気にしていて、早川町も残土の置き場がいっぱいだとの地元の声がある。こうした残土問題はどう処理する計画ですか。

宇野:早川だけではなくて、いろいろなところであって……。都市のトンネルも同じで、発生土をどこに持っていくかと。もともと私どもは山梨実験線42kmが出来上がっていますが、その時も県内の発生土処理を経験しています。同じように掘り進める部分について手当てをしながら進めていく。

 そういう中で、早川町内の現場から近いところの置き場は、だいぶ埋まってきている状況です。今、仮置きみたいなことをやっている。それは北の方ですけど、南側でも、やっぱり100万㎥規模の発生土(処理策)ですが、もう少し時間がたつと具体化するというところです。決して、当てがないということではありません。

残土の何割ぐらいが、置き場を確保できているのか?

宇野:300数十万㎥以上が早川側から出ますが、県のトンネルや工事で使っていただくものを含めて、だいたい半分近くになると計算しています。

残りの半分はやりながら手当てをしていくと。

宇野:まだ公にはしにくいところはあるんですが、今、早川町の近くに仕込んでいる、ある程度まとまったやつがある。これが実現すると、ボリューム的にはめどが立つという状況ですね。

 発生土の話は関係者が多く、地権者が全員一致で賛成と言っていただかないと進みにくいんです。1人が「気にくわないからやらない」と言うと、許認可も進みにくいので、ここは慎重に進める必要があります。リニアに反対する人からすれば、「置き場が決まらない方がいい」という方が多いわけですよね。

静岡県や長野県の残土置き場の状況はどうですか。

宇野:静岡の方は環境アセスメントのときから、置き場についていうと候補地は7~8カ所あって、「ここでやる」とアセスの中でも言ってきている。なぜそうできるかというと、地権者が1人だからです。

その人がよければ、かなりの場所が確保できる。

宇野:製紙会社があの辺りの山をすべて所有していて、「こういうところなら置いていいよ」という話があったので、静岡県内はほぼ確定しているんです。割とトンネルの現場から近いところで、そんなことが確定しているという状況です。

県が全力で地権者交渉

長野はどうですか。

宇野:場所によって状況が違うんですけど、いろいろ候補地があります。県からも候補地を紹介いただいて進めています。工事現場の大鹿村でも、行政の協力の下、少しずつ確定しているという状況です。

状況としては早川と同じような感じ?

宇野:早川と似ているんですけど、大鹿村だけではなかなか置き場としては満足できないので、(村外の)天竜川に近いところに持っていく必要があるんです。それについては、いろいろな候補地があって、そこの調整に時間がかかっています。昔、三六災害と言って昭和36年に起きた豪雨で大きな被害を受けた経験から、心配をいただいている。なので、構造的には十分安全だと説明しながら、理解を進めていきたい。

山梨は地上を高架で通る部分が比較的多く、そこに住宅や畑などがあります。これは買い取るわけですね。

宇野:そうですね。

強制収容、考える時期来るかも

リニアに反対する人が、畑の木の所有者の名前を書いた「立ち木トラスト」などをされている。

宇野:一応、財産を持っているので、同意をいただいて所有者から買い取っていくのが基本にはなります。ただトラストをやられる方は、事業が進まないことを望んでいるので、当然そういった買い取りには応じていただけません。そういう方々を除いて測量して、エリアの土地が必要だと説明をさせていただいて、かなり買収交渉には入ってきています。

 結果的に取得しているのは多くはないが、今年度は山梨県の方々に委託をして全力を挙げて地権者交渉をしていただいています。県も取得率を今年は上げていきたいと言っています。

今年度で取得率の目標は?

宇野:取得率と言っても、なかなか(答えにくい)……。地上区間は工事そのものの工期は短くて済む。その意味では3~4年あれば、だいたい出来上がる。最終、そこに間に合うようにできればいいという感じです。

立ち木トラストなど、協力的でない住民や地区もあります。そこは、国家的プロジェクトという意味から、最終的には収用という形になるわけですか。

宇野:これはまだ先の話なので、今は「取得をさせてください」ということを申し上げています。ただ、おっしゃるように、このプロジェクトは土地収用法の対象事業なので、そういうことを考える時期が来るかもしれない。