JRは一つにならない

これはちょっと大きな話になるんですけど、御社は6000億円近い経常利益を出しています。JR東日本や西日本も結構儲かっているし、九州も上場して良好な経営を続けている。今、東日本は北海道が大変なので人的な支援などをしていますが、JR東海はいかがですか。他のJRを支援する発想はないんですかね。

金子:ちょっとこれはしんどい。

30年前、ここまで強くなると思ってなかった。ならば、鉄道ネットワークとして、もう一度、JRグループが緩やかにでも連携していくというベクトルというか方向性があり得るのではないですか。

金子:ないと思います。やっぱり完全民営化したのは決定的で、もう後ろにバックできないということなんですよね。民営化は覚悟のいることで、もう国は助けないぞと。自分の足で立っていくんだぞということでした。それで、それぞれ必死で頑張った。

 バブル期にJR各社、ちょっと一息ついたはずなんですね。その後、一生懸命頑張って今日を迎えている。あとは気持ちの上で、まだ私の世代だと昔、知っている人がまだ経営陣にいるので、何とか頑張ってくれればいいなという気持ちはありますけど。実際に、何か(経営資源を)持ち出してやるのは、もう株主が許さないことだと思います。何か合理性がそこにないとだめだと。できないことだと思いますね。

要するに株主が許さないと。

金子:許さないと思います。そこに経営的な合理性がないと。民営化ってそういうことなんだと思います。

リニアも磨き上げる

リニアが終わって、その後、新たな挑戦は出てくるものなんですか。

金子:新入社員が、よくそう言うんですよ。「リニアの次は何するんですか」と。若いなと思いますけど。

 新幹線は(開業から)54年です。会社になって32年目ですよね。少なくとも、会社ができたときと今の新幹線は別物になっているんですよ。リニアができたら、またできた日から磨き上げます。

 新幹線も磨く。それからリニアができるのは名古屋で10年後ですよね。大阪は20年後として、その間、新幹線はもっといい形にします。そういうことなので鉄道のインフラって、何か新しいヒット商品を出すという世界ではないので、今の機能をどれだけもっとレベルアップできるかということ。ずっとよくしていけるし、しなくちゃいけないというふうに思いますね。

なるほど。とりあえず、リニアを磨き上げる。今、頭にあるのはそこまで。

金子:そうです。先輩は立派だと思うのは、東海道新幹線ができる2年前にリニアの開発が始まっているんですね。技術の芽がそこで出て、ずいぶん時間がかかって、その後、国鉄がダメになった。一時期は、その研究開発は少し下火になるんですが、私たちの会社が始まって、東京~名古屋~大阪を結ぶのは使命だと。リニアを私たちがもう1回本腰を入れてやり始めて、モノになったことは、ある種の必然というよりは、いろいろなことの絡み合いの中で実現したことですね。

 今年、社長になってからずっと、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」と言ったのも、いつまでも同じ内容ではだめだよと。少しずつレベルアップしていこうと。世の中は変わるかもしれないけど、安全とかサービスとか効率とか、もっと何とか知恵を出して磨き上げると。

 現状を是とせずに磨き上げる。きっと、それは普遍的な話なので、力を付けていけばきっと20年先のことも、あと5年たったらもう少し見えるかもしれない。10年たったら、もうちょっとはっきり見える。力を付けることを怠らなければ、また私たち何とか対応できるし、それをチャンスにできるかもしれない。まあ、言葉だけのことではなくて、本当にそう思っています。