今、9兆円を自分で出してやっていくと。ただ、2016年6月に安倍晋三首相から「財投を入れる」という話が出ました。
葛西:あれは自己負担だよ。
でも財投ですから、財投債が発行される。
葛西:財投債だけど、銀行から借りるのとまったく同じですから。
安倍さんとの話、どっかであったかも
いや、銀行から借りたら、無担保で3兆円を0.8%という金利で借りられないのでは。30年間も元本を返済しなくていいという条件も出てこないと思うんですよ。
葛西:財投で借りているというのは、財投機関から借りているということであって、財政出動しているわけじゃないんだよね。あれは債権を発行する。発行するのに必要だった経費も全部含めて、JR東海はコストをカバーして、端数を切り上げたおカネで借りるわけですよね。だから、あたかも政府におカネを出してもらったかのごとく理解するのは、これは間違っているのか、ねじくれているのかどっちかなんだよ。
でも、政府が決めるからこそ、安倍首相がまず宣言したわけですよね。2年前の6月の財投の決断は、やっぱり葛西さんが「財投を入れると、これだけ工期が短くできる」とおっしゃったのでは。だから、安倍さんがそうしたと。
葛西:僕は安倍さんには、直接はそういう話をしてないんですよね。
そうなんですか。
葛西:安倍さんを支持しているけど、何かしてくださいというお願いは、基本的にやらないことにしています。ただ、政府に大阪からの要求がすごく強くて、「一刻も早く、大阪までの工事を立ち上げられるようにしたい」という気持ちがあったのは事実ですね。大蔵省や経産省、国交省はあんまり飛躍した考えが出てこないんですよ。
でも、安倍さんもあれだけ葛西さんと頻繁に会っていると、その中で、財投の発言の直前など葛西さんに話したくなるのでは。
葛西:そんな話は安倍さんから出ませんよ。
その間、リニアの話は。
葛西:だから、大阪までの着工をできるだけシームレスにやりたいという気持ちは、大阪にも政権にもありますよね。安倍総理や菅官房長官、杉田副長官にもあるのは分かります。そうすると、「やる方法はないのかな」なんて話がある。
ある日、「こういう案でやったらどうだ」というサウンドがあったのも事実。それは安倍さんが言われるだいぶ前ですよ。それで、政策的にある程度詰めた上で、それは総理の所に、「こういうことでいきたい」という話が上がったんだと思うんですよね。直接の相手は財務省ですよね。あるいは国交省ですよね。でも国交省から、あんまり大きな知恵が出ないから、やっぱり財務省なんですよね。
そうすると、安倍さんの方から「何とかならないか」みたいな話があった。
葛西:どっかであったかもしれませんね。何人かで集まったりするところはありますからね。だけど、あんまり具体的にこれ、何とか知恵を出してくれとか、こうしたらどうだとか、一切ないんですよ。
国からおカネを回してもらった。
葛西:いや、でもそれは国から借りただけであって、そのおカネは金利の補助もまったくなくてですよ、金利を払って返すわけです。だからあれを「国から財政支援を受けた」というのは悪意によるねじ曲げとしか思えないよね。
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