エマソンは「解き放つ」という点を徹底的に追求した結果、事業領域を2つに絞り、売上高は全体の3分の2へと大幅に減少することになった。

 だが、これを単なるリストラ策だと見るのは早計だろう。モンザー社長が言うように、本社直轄のマネジメント層への教育をさらに強化することで、本社から事業子会社への関与の度合いはむしろ高まることになるからだ。

ヒトを介したシナジー

 今回の特集では、リクルートホールディングスのグループ経営についても触れた。グループの連結対象子会社は287社(2016年3月時点)に拡大しているが、親会社は直接的に子会社の中身に手を突っ込み、「事業をいじる」ようなことはしない。

 では何で「統治」するのか。リクルートでは「キャリアウェブ」と呼ばれる転籍制度などが充実しており、グループ企業間の人材の流動性は高い。ヒトを介したノウハウの横展開がグループのかじ取りを担っているという点で、エマソンの経営スタイルと似ている。

 何を解放し、何で統治するのかの判断はそれぞれのグループ企業によって異なる。重要なのはそのバランスなのだろう。

当連載は、日経ビジネス 2016年8月1日号特集「新・グループ経営論 縛らず統治せよ」との連動企画です。あわせてこちらもご覧ください。
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