消費者がデータ提供したくなる仕組み必要

日本のデータ活用の課題はどこにあると思いますか。

 「ビッグプレーヤー同士の連携ができていないところですね。TポイントとSuica(スイカ)が組むのかというと、難しいところがあります。それは市場経済のある意味で宿命です。経産省のリポートでも触れていますが、IoTで情報を集めて、ビッグデータ化するには、情報の標準化と共有が必要です。それをAIで分析して、次の段階で活用することによって付加価値が生まれます。いまの小売業は、情報を集めて、ビッグデータで共有できるかという部分が問われていると思います。企業が勝手に集めて、それぞれで活用するという世界から、コンソーシアムにするような取り組みが必要でしょう」

 「もう1つは消費者が喜んでデータを提供したくなる仕組みが必要です。消費者はプライバシーの観点から情報をオープンにしにくいです。しかしデータを提供したことで、本人にもメリットがあることを理解してもらえれば、データ活用に対する目は変わってくると思います」

データ社会の到来で、これからメーカーや小売業と消費者との関係性は変化しますか。

 「変わってきます。一番重要なポイントは消費者の力が増しているということです。これまではメーカーや小売業が消費者に伝えたい情報だけを伝えていました。しかし、インターネットの普及で誰でも情報を収集し、発信ができるようになりました。消費者のほうが商品のことをよく知り、使い分けているような状況もあります。それに対して、メーカーや小売業がどういった商品を提供するのか、マーケティングのやり方は変わる必要があると思います」

消費者ニーズを的確に捉えていない製品はそっぽを向かれてしまうということですね。

 「そうですね。ただ消費者ニーズは複雑です。潜在的なものと表面的なものがあります。マーケティング学者フィリップ・コトラー氏はマーケティングについて、商品の価値を消費者と共有し、お互いがウィンウィンの関係になることが重要だと指摘しています。つまり売る側と買う側のコミュニケーションです。だから消費者がどういった買い方をするか、ビッグデータ分析を通じて知るなど、消費者と売る側のコミュニケーションがより非常に重要になってくると思います」