日本企業もネットワークの再構築を

現状をみると、小売業とメーカーなどの間でデータ活用の連携はあまり進んでいないように思えます。

 「これまでの商品流通をみると、メーカーはメーカー、小売りは小売り、問屋は問屋というように、それぞれが自らの機能を果たせば、なんとなく全体最適になるような意識でやってきたのでしょう。情報を濃密にやり取りすることは想定していません。しかし、現代はリアルタイムで幅広い情報が活用可能になってきました。消費の現場の情報を、製造も含めたサプライチェーンに反映させていく仕組みが求められていると思います」

 「アマゾンが米大手スーパーのホールフーズを買収したことは、インターネット企業とリアルでの店舗展開に優れた企業が結びつくことで、情報化社会の仕組みを広げられるという狙いがあったのだろうと思います。そういう点では、日本企業も全体のネットワークをどう再構築していくかが重要でしょう」

どこまで消費者データを活用できているかについて企業によって差があります。食品や日用品など消費者に近いメーカーの商品開発や生産でもまだ改善余地は大きいようです。

 「課題となるのは、食品やアパレルなどの企業はこれまでマスマーケティングに慣れ親しんできたということです。こうした企業の事業では、受注から生産、そして物流センターから運ぶまで、プロセスは多岐にわたります。データに現れる細やかなニーズを見ながら、生産の調整ができるものは限りがあるかもしれません。単価が1000円の化粧品や5000円の洋服などでは可能かもしれませんが、一般的にイメージされるマスマーケティングの商品は難しいのかなと思います」

マスマーケティングの商品を取り扱う大手の裏を付いて、大手ができないような部分を攻めるメーカーは出てきませんか。

 「ニッチな攻め方にチャンスがあるのは事実です。ただし、それが市場のメジャーになるかというと大きくなった途端にマスマーケティングに戻ってしまうのではないでしょうか」

 「大量生産・大量消費をする飲料のような商品における、データ分析は個ではなく、全体のトレンドを見るのには重要です。それはリアルタイムで消費者の微妙な動きをすぐに把握するようなデータ分析とは違うのかもしれません。一方でファッションなどは、飲料の世界とは異なるデータ分析ができると思います。商品の価格や販売量によって、データの活用方法が変わってくるでしょう」

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