こうした言葉はお店に足を運んだときに消費者と店員が交わす会話そのものだ。つまりパルコに入居するアパレル店はポケットパルコを活用することで、来店前から接客を始めているのだ。

 同社が15年12月に実施した調査によると、アプリ上で記事をクリップしたユーザーの44%が来店していた。このうち75%が商品を購入している。クリップが1000件あれば、330人は店舗で何かしらの買い物をしている計算だ。

 第2のステップとしてパルコは16年春、アプリを刷新した。ユーザーの購買履歴や来店履歴、クリップした記事の内容などをAI(人工知能)が機械学習し、ユーザー一人ひとりにあわせた記事を提案する機能を実装した。

パルコ店頭にはアプリで記事が掲載されていたことを示すPOPもある。自宅などで閲覧していた商品を見つけやすくしている

来店後に迷わせない

 商品そのものをおすすめするのが米アマゾン・ドット・コムや楽天市場だとすれば、ポケットパルコは、ネットの世界に「接客」を持ち込んだ。購買データなどに基づく、デジタルなレコメンド(推奨)よりも、顧客の購買欲をくすぐるために、店員との会話を疑似体験できるようにしているのが特徴だ。

 これまで、実店舗の店員が的確なおすすめを試みるとき、最大のハードルとなってきたのが消費者の好みをいかに把握するのか、という点。アプリ上の接客なら、消費者の実像を知ったうえで最適な「接客」を選んで提供することができる。ポケットパルコは来店前から接客を始めることで、来店後にも迷わせない仕組みを構築することができている好例といえそうだ。