ぐるなびで食のトレンドつかむ

 ネット通販サイトとは違う場所からデータを抽出する試みもある。その一つが飲食店情報サイト「ぐるなび」の提供するメニューデータだ。飲食店の店主がぐるなびに登録したメニュー名のデータのほか、消費者がお店を探すとき検索に使うキーワードの伸びを可視化し、その結果を参照できる。

 

 特集誌面では山芳製菓の取り組みを伝えたが、ハウス食品も今春、ぐるなびの提供するデータの活用を始めた。同社の主力商品はカレー。最近、首都圏を中心にインドカレー店が増えている。「バターチキンカレー」「キーマカレー」など、新しく食卓の定番に育っていきそうな商品は何なのか、目を光らせている。

 「これまでは食のトレンドを追うのは肌感覚に頼るところが大きかった」。ハウス食品の研究開発本部マーケティングサイエンス課長の西岡徹夫氏は語る。ネットを通じた消費者調査や、消費者と面会してのインタビュー調査も実施してはいる。もちろん両方とも有効だが、回答者が企業が答えてほしい内容を意識しすぎる場合もある。

 ぐるなびを通じたデータを分析する場合、飲食店であるメニューの取り扱いが増えているとすれば、顧客がメニューを目にする機会が増える。検索件数が増えているとすれば、それは消費者が自発的に特定のメニューを求めている表れだ。より実需に近いデータであるといえ、それゆえに、精緻な商品開発につながるといえるだろう。

 気象データを活用するのは、ミツカンだ。日本気象協会と組み、2014年から冷やし中華のつゆの需要予測を行っている。冷やし中華のつゆは、お盆を過ぎると、需要が急減する商品で在庫の調整が難しく、従来は担当者の経験と勘で予測していた。

 メーカーの立場としては、在庫を極力減らしたい。しかし、そうすると、消費者が欲しいと思ったときに品切れを起こすリスクがある。ミツカンの生産物流本部SCM企画部SCM管理課の真野恭彰課長は「冷やし中華以外にも麺の商品は市場に数多くある。だからこそ、消費者が欲しいと思ったときに商品を提供できないと、次から存在を忘れられてしまう」と語る。

 そこで、過去の冷やし中華のつゆの販売データと気象データを組み合わせて、将来の需要を予測。1ヶ月先の需要量を見ながら、生産を調整し、2016年には360ミリリットル入りの商品で廃棄量を前年比9割削減した。

 中長期的には気象データを活用した需要予測を、納豆のような購入頻度の高い商品にも広げたい考えだ。消費者がスーパーに来店する頻度は、気温や湿度に左右されるため、納豆の需要量にも大きな影響を与える。消費者が欲しいものを、欲しい量だけ作る。この理想がデータの活用で実現すれば、廃棄量削減や輸送効率の改善など幅広い問題の解決にもつながるだろう。