データを活用し、「売れるものだけを作る」という理想に向けて、メーカーや小売業が動き始めた。日経ビジネスの7月31日号は「もう迷わせない! 消費多様化の終わり」と題する特集を組んだ。消費者のニーズを的確に汲み取り、商品開発やマーケティングに反映させることで、結果として消費者を「迷わせない」的確な提案につながる。誌面で取り上げた以外にも、商品開発の革新を目指す企業は多い。

消費者がリピート買いしたいと思う化粧品の姿は――。マツモトキヨシホールディングスが2月に発売したプライベートブランド(PB)の美白化粧品「ブランホワイト」は、自社で運営する「マツキヨポイント」の顧客データを商品開発に活用した商品だ。
時間をかけて読み解いていったのは、化粧品がどのようにリピート購入されているかだ。たとえばAというブランドの化粧水を購入した人が、数ヶ月後にどのブランドの化粧水を購入したかの動向を分析した。この結果から、美白化粧品は幅広い商品を同一のブランでそろえる志向が強い上、リピート率が高く、固定ファンがつきやすい商品であることがわかった。
一方で、美白化粧品のリピート買いをやめるときは、価格が安い商品に移る傾向があることが判明した。開発を担当したマツモトキヨシHDの営業統括本部商品部の櫻井壱典氏は「いい商品を使いたいというニーズはあるが、価格面で使い続けるのが難しいという仮説を裏付けることができた。消費者が買い続けたいと思う価格帯を知ることができた」と語る。
これらの分析結果をもとに、従来のPB美白化粧品よりも価格を抑えたブランホワイトを開発。発売してまだ数ヶ月だが、リピート率は、既存メーカーの美白化粧品よりも高いという。
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