このお店だけが特別に歯みがき粉の品ぞろえが多いのだろうか。そう考え、歩いて5分ほどの場所にある別のスーパーにも念のため足を運んだ。

 複数の買い物フロアがあり、衣料品なども取り扱ういわゆる総合スーパー(GMS)だ。こちらもダブルチェックしながら慎重にカウントしてみた。結果は90種類。先程の食品スーパーよりは少ないが、それでもイチ消費者の感覚としては「こんなにあっても選べないよなあ」という多さだ。

 念のため、記者がいつも利用しているコンビニエンスストアも改めて訪れてみる。こちらは8種類。どれも定番ブランドばかりだ。自分にはこれで十分だ。なんとなく、ほっとさせられる売り場だった。

 歯みがき粉以外にも、今回の取材では日用品や食品など身近な生活必需品をいくつかピックアップし、店頭でカウントしている。その結果は日経ビジネスの本誌7月31日号を是非、参照していただきたい。ひとつだけ書くならば、レトルトカレーは歯みがき粉に匹敵する選択肢の多さだった。

商品数多くても「おすすめ」があれば良い

 日経ビジネスがアンケート調査で聞いたところ、買い物をしていて「選ぶのが面倒」と感じる消費者は全体の47.4%にのぼった。2人いれば1人は選び疲れしている。60歳以上のシニア層ではその確率が38.3%にとどまったのに対し、20代で53.9%、30代で50.0%と、若い層で「面倒」と感じる人が多かった。「迷うことが増えた」と回答したのも、20代が最多で、30代が続いている。

 その若い世代が当然のように利用しているのがインターネット通販だ。ユーザーの属性情報や購買履歴などからおすすめ商品を教えてくれる存在。買い物で「選ぶ」という行為の負担が、実店舗よりも軽い存在ともいえる。

 小売店で商品数が多いこと自体は悪くない。多くても良いのだが、大切なのは「選ぶストレス」をいかに軽減するかだろう。インターネット通販のようなおすすめ機能を、小売店も備えることができるか。特集「もう迷わせない! 消費多様化の終わり」ではこの課題を乗り越えようと努力するスーパーのトライアルホールディングスや、同じく奮闘するコンビニ大手のファミリーマートについても伝えている。

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