看板商品の「ホットクレンジングゲル」は「美容液でメイクを落とす」という新しいコンセプトでヒットした。
看板商品の「ホットクレンジングゲル」は「美容液でメイクを落とす」という新しいコンセプトでヒットした。

一見遠回りにも思えますが、「働き方」を改革する前に、「商品やサービス」に改革の余地がないのか検討することが大事だということですね。

岩崎:そうなんです。ビジネスモデルをちっとも変えないで、「時短だ、時短だ」と掛け声だけかけても、本当の意味で働き方が変わるわけないですよね。そんな当たり前のことを見落としている会社が多いと思います。

 私が今、以前の広告代理店に戻ったら、クライアントが広告を出したくなるような魅力的なオリジナルの媒体を作ります。当時、営業本部長だった私がやらなきゃいけなかったことは、部員と一緒に夜中までものを売り歩くことじゃなくて、未来の媒体を作ることだった。リーダーとして「未来を作る」ことをもっと頑張らなきゃいけなかったのに、すごく後悔していますね、そこだけは。

 独自の価値を作り、それを丁寧に伝える。簡単なことではありませんが、とにかくこれを徹底してきたおかげで、「価格」や「労働時間」で競争しなくて済むようになり、社員が残業しなくても成長を続けられる会社になりました。

もっとも起業してしばらくは残業する社員も多かったとか。時間をかけて根付かせた「定時で帰る文化」を絶やさないために、何か工夫はしていますか。

岩崎:社員の毎月の「残業時間ランキング」をつけています。ランキング上位者には、「何で遅くなったの?」って聞いています。繁忙期とか、特別な理由がある場合はいいんです。でも、2カ月続くようだと問題です。慢性的残業は、業務を工夫してい ないことが理由である場合が多い。やり方を変えずに、「ちょっと残業すれば良いや」という安易な方法に流れている。それを見逃してはいけません。

 少しずつそんな社員が増えていくと、あっという間にブラック企業になってしまいます。気を抜いたら一瞬です。「遅くまでいる子、偉いな」という雰囲気が出てきちゃうんですよ、上司もつい「昨日遅かったんでしょう」みたいに労いたくなる。でもだめなんです、それをやったら。

 残業する人がちょっとでも偉い風潮になったら、子育て中の社員はもう辞めるしかなくなってくる。子供が小さいうちは、夕方5時には帰りたいでしょう。しかし、一般社員が夜8時まで残るようになったら、この3時間の差は埋められないので有能なママ社員はどんどん離職しますよね。

 子供を産んだら居場所がない。だから結婚したら辞める。それでは、せっかく優秀な人材を採用しても、一人前に育てても、何にもなりません。男性だって、今、子供が生まれたばっかりのときは早く帰りたいと考える人が、世の中にはすごく多いんですけど、「みんなが遅くまでいるから帰れない」と悩む男性社員がいっぱいいます。

 きれい事を言うつもりはありませんが、社員の人生を犠牲にして成り立っている事業は、今は何とかなっていても、長くは発展していきません。これは事実です。そうならないように、勇気を持ってビジネスモデルを変えていく。それが経営を預かるリーダーの務めだと思っています。

ランクアップでは、仕事のムダを徹底的に省き、残業を減らしている。社内会議は30分、オフィス中央の立ち会議スペースで済ませる。
ランクアップでは、仕事のムダを徹底的に省き、残業を減らしている。社内会議は30分、オフィス中央の立ち会議スペースで済ませる。
[画像のクリックで拡大表示]