石川:わかりやすくいえばアジェンダの作り方、テーマごとの時間の設定、タイムキーパーの役割など、会議を構成するさまざまな要素に対して決めごとを設定し、会議自体を共通化するのです。
アジェンダごとに設定する時間は3分、7分など1分単位で、モジュールとして機能させるためにロスタイムもあらかじめ設定します。タイムキーパーの残り時間の伝えるタイミングや伝え方も定めています。
クリエイティブな会議は15%だけだった
モジュールを取り入れるまで、たとえばA部長が進める会議とB部長が進める会議には共通の仕組みがありませんでした。バラバラなやり方で進めているうえ、ある部長はトップダウン型で聞かせるだけ、ある部長はボトムアップ型で部下に言わせるだけになっていたりしました。どちらの場合も脱線することがよくありました。
同書を読んだ私は会議などのコミュニケーションをモジュール化できるのではないかと発想しました。まず末松教授の研究室の協力によって、会議時間、議論の内容などを記録して分析。内容は85%が報告で、クリエイティブな要素を含む会議は15%にとどまることがわかりました。これはほとんどの企業に当てはまる比率だとのことです。
現状を把握した上で、会議時間を平均50%削減すると宣言しました。モジュールの導入によって毎週の役員会議は3時間を1時間半に短縮。私も出席する事業部ごとの会議は1時間から30分に縮めました。
1つのアジェンダを議論する時間は数分がほとんどです。短いと思われるかもしれません。それでも通常、私がエレベーターを待つわずかな時間でプレゼンする社員もいるわけで、会議も要約して大事なことだけわかりやすくすることが可能です。わいわい会議なども例外でなく、原則として同じ仕組みを取り入れています。
モジュール化の成果は大きいと思います。
私の毎日の執務時間は少し前まで85~90%が会議でしたが、3年ほどでその比率が5割まで下がりました。報告漬けで身動きが取れなかったのが、新事業やトレンド予測を考えたり議論したりできるようになりました。会議の質という点でも、モジュール化によって、どのリーダーが議事を進行してもアウトプットの質にそれほど差がなくっていると思います。
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