【その5】 自身の経歴書を毎年書く

 自身の市場価値。ないと思えば、なくなる。ある!と思えば、瞬時に高まる。

 繰り返しになるが、大企業という大きなフィールドで戦ってきた経験は、普通では手に入れられない貴重なものなのだ。そこに方向を定めたスキルや知識の向上の思いが加われば、さらに価値を増す。

 まずは、自身の経歴書(実績、能力・スキルを含む)をA4サイズで最低3ページ以上書いてみる。その時に、過去に働いてきた歴史を一貫して語れるよう、一つの自己アピール・ストーリーを作ることが大事。そして、毎年更新、適宜変更する。それが、定期的に自分の価値を高めるストーリーを見直し、さらに価値を向上させてくれるテーマを探し出すきっかけとなる。

 蛇足だが、日本のビジネスパースンは経験している分野の幅が広いので、例えば第2の人生のキャリアを、X、Y、Zと3つ想定して、それぞれに応じた経歴書を3つ書いてみると、さらにいろいろな発見があるはずだ。実は人生の選択の幅は広いのだ。

 ■「自分には市場価値がある」
 ──生煮えの謙虚さで自身を高い挑戦から逃がさない(私の自戒)。


スタートアップ企業で周りに頼られるという生き方

 外国の友人がいつも言う。「なぜ日本人は自分を過小評価するのか?」と。

 「市場価値を倍増する」と、この原稿のタイトルにつけたが、これは今から倍増するという意味ではない。「すでに絶対に持っているご自身の価値を、埋もれさせずに、そのまま世の中に解き放ってあげてくださいね!」という、私の心からのお願いを込めたものです。

 大企業で部下に煙たがれるより、スタートアップ企業で周りに頼られる生き方を選びたい! 日本でそんな変化が生じるのは、もはや時間の問題だろう。人生の年輪を必要とする企業が世の中にはたくさんあることを、私は人財育成の仕事を通じ て、日頃目の当たりにしている。人生100年時代、50歳ならまだ道半ば。まだまだ成長の喜びを楽しみたい。

 “使えない50代”というのは、ついつい威張って、下をあごで使おうとする人たちのことだ。人生の努力の刈り取りに入るのが早すぎる人たち…。誰しもが自分はそういう人間ではないと思い込みがちだ。だからこそ、陥りやすいワナに気づく仕組みを作って、自らに課せばよい。それだけで、もともと価値のあるスキルや能力は放っておいても自然な輝きを増す。そして人を魅きつけるのだ。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。