使い方は、リコーすら想定していなかったものが出てきている。

 「リコーはあくまで、シータという機会を提供したに過ぎません。使い方はユーザーの方に任せているので、想定していなかった使い方や映像を見て、僕らが驚くこととも多々あります」(野口氏)

 例えば、船の煙突やエレベーターシャフトに付けて機構内部を点検する作業員。動物に装着してその生態系を探る研究者。各人がそれぞれの使い方を「開発」し、その動画をどんどんシェアしていった。

「切り取る美学」もコンテンツの一つのあり方

 今では、日本のみならず、海外での利用率も高いという。一方、国によって利用者層は異なるという。アジア圏ではセルフィ(自分撮り)を多くする若い女性。米国ではギーク(コンピューターやネットワークに詳しい)な人たち。そして日本は、毎日のようにSNSに写真をアップロードするような人たち。「市場のポテンシャルとしては、同社製品以外も併せて1000万台くらいのポテンシャルはあるはず」(野口氏)と期待を寄せる。

Instagramには、国内海外問わずシータで撮影・加工した写真が並ぶ。写真の場合、2次元で表現すると、丸の中に被写体が収まるように表現される
Instagramには、国内海外問わずシータで撮影・加工した写真が並ぶ。写真の場合、2次元で表現すると、丸の中に被写体が収まるように表現される
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 現行モデルは2015年9月の「THETA S」が最新モデル。今までのモデルチェンジが毎年秋口に行われていたことを考えれば、今年もまた新しいモデルが発売されるだろう。一方、今後は、ほかのカメラメーカーが追従してくる可能性が高い。スマホ自体が360度コンテンツを撮影できる仕様に変わってくることも考えられる。

 「未完成な市場が大きくなることは大いに歓迎しています。リコー自身もまだまだやれることがたくさんあります。画質一つとっても、まだ向上の余地が十分にあります」(野口氏)

 市場が縮小するデジカメ市場にきら星のごとく現れたシータは、少なくとも、閉塞感漂うデジカメ市場に新しい機運を市場にもたらしたことは間違いない。