PS VRはPS4と一緒にしか使用できませんが、PS VRで狙う層はPS4のユーザーだけですか?

吉田:最初はPS4を持っている4000万人(世界)の層でいいと思っています。PS4の価格は3万4980円でそれなりに高いですから。ゲームを好きな人に体験してもらうのが、最初の狙いです。

 ただ、ゲームをやる層以外にもアプローチできると思います。例えばスポーツ観戦やコンサートなどのコンテンツが増えれば、PS4ユーザーの家族や友人が「ゲーム以外にもこんな楽しみ方があるんだ」とPSの世界に来てくれるのではないでしょうか。

 我々はPS VRをPS4の周辺機器だとは思っていません。PS4のユーザーの一部分だけではなく、もっと大きなポテンシャルを持っていると思います。

VRは3つの市場で進化

現在のVR市場を見ると、ソニーやHTCなどのハイエンドなVRシステムから、段ボールで組み立てることができるライトなVRまで幅広くそろっています。今後VR市場はどう変化していくと考えますか。

吉田:今は3つに分かれていると感じます。PS VRやオキュラス、HTCのようなハイエンドなVRと、スマホを使って誰でも見られる「ハコスコ」や「カードボード」のようなVR、そして、その中間に位置するのが、サムスン電子が手掛けている「ギアVR」のようなスマホを使ったハイエンドなVRです。この3段階に分かれて、それぞれ発展していくと思います。

 スマホを使うVRシステムは、もちろんパソコンやPS4ありきのハイエンド製品に比べると映像のパフォーマンスは劣りますし、ポジショントラッキングはできません。しかし、手軽ですし、ビデオ系の360度コンテンツを見るにはいいと思います。リアルタイムCGを使ったハイエンドでなくても、パノラマカメラで撮影したこれまでにない体験をモバイルVRでできるので、この市場が持つ役割も大きいと思います。ケーブルがなくても、鞄に入れて持ち歩けますしね。

 スマホを使ったハイエンドなHMDには、先日米グーグルが「DayDream(白昼夢)」を発表しましたが、これはギアVRにかなり近いものになるのではと思っています。あとは米アップルの動きですかね。iPhoneベースのものを出せば、大きなインパクトはあると思います。

HTCやオキュラスは競合となりますが、他社の動きをどう見ていますか。

吉田:HTCやオキュラスの技術者とは、結構みな仲が良いんですよ。ブームになる前からよく情報交換していました。今は、VRの普及のために一緒に頑張っているという感じですね。何十年もVRを実現させたかったという人の集まりですから。

今後はエンターテイメント用途だけではなく、産業用途での活用も考えていますか。

吉田:問い合わせはすごく多いです。開発や医学など、いろんな分野からコンタクトをもらっています。もちろん興味はありますが、対応できる人間のリソースの数も限られているので、まだ具体的にお話しできる案件はありません。

今後VRはどう進化していくでしょうか。HMDも今より小型になるのですか。

吉田:うちの戦略ではなくて、業界の目指す方向という意味での答えになりますが、VRとAR(拡張現実)ってあるじゃないですか。ARは現実にCGを重ねるものです。最終的には、VRとARを簡単に切り替えるようなメガネ型でかつ、単体で動くようなものになるのではと思います。何年後かは分かりませんが、業界としてはそういう夢を持っている技術者は多いですね。