シリーズ
岡部直明「主役なき世界」を読む

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G20が示す、「米欧亀裂・日欧接近」の新力学
G20では、トランプ米大統領の「米国第一主義」と多国間の国際協調主義がぶつかり、米国とその他の国が1対19に分かれて結束できない場面が多かった。G20は、「米欧亀裂・欧亜連携」の新時代を改めて示した。米国が国際協調重視の…
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ヘルムート・コールが欧州に残したもの
今月死去したコール独元首相が欧州に残した遺産は大きかった。両独統一を実現し、ドイツ国民の悲願を成就させた。最強の通貨・マルクを捨て、ミッテラン仏大統領とともに欧州単一通貨ユーロを創造した。そこにあったのは、歴史に根差した…
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マクロン仏大統領が変える欧州と世界
フランス国民議会選挙の決戦投票で、マクロン大統領率いる新党「共和国前進」が単独過半数を確保した。欧州主義者であるマクロン大統領の登場で、仏独主導によるEUの再生が動き出す。BREXIT、トランプ旋風と続いた英米発の国際リ…
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BREXITでまたもオウンゴールの英国
英国の総選挙の保守党の敗北は、2度目の「オウンゴール」という見方がある。今後、BREXITの手続きは混迷するだろう。EU離脱の交渉期間が長引くことで外資流出が広がれば、英国は「新英国病」に悩まされることになる危険も。
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トランプ大統領が「地球の敵」になった日
トランプ大統領は、地球温暖化防止のためのパリ協定からの離脱を表明した。欧州首脳はこの決定に強く反発。この決定により、米国はその文化や政治的価値観への支持を失い、このソフトパワーの空白を埋めるのは、EUと中国になるだろう。
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「G7の悪役」になったトランプ米大統領
G7首脳会議で、ドナルド・トランプ米大統領は「悪役」を演じた。強硬な保護主義の主張を繰り返し、2国間の貿易摩擦の激化を予見させた。パリ協定を拒む姿勢にも変化はない。米国主導は終わり、G7のリーダーは独仏へ戻っていく。
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「一帯一路」構想にみる「中国第一主義」
中国主導の「一帯一路」構想に関する国際会議は、米国一極時代の終わりを告げる場になった。この構想を警戒していたはずの米国が政府代表を送り込んだのである。背景には北朝鮮問題など、米中関係を融和せざるを得ない事情があった。
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史上最年少、マクロン仏新大統領が担うEU再生
フランスの大統領選挙は、中道で親欧州連合(EU)のエマニュエル・マクロン氏が勝利した。世界に広がったポピュリズムの潮流は転換点を迎えた。フランスは「自国第一」という英米の選択を「反面教師」にしたのである。
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米国こそ「為替操作国」ではないのか?
トランプ大統領は「ドルは強くなりすぎている」と繰り返し、ドル高相場をけん制、世界の外為市場を揺さぶっている。これは基軸通貨国の首脳として異例ともいえる「口先介入」である。中国よりも、米国こそが「為替操作国」ではないのか。
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“サッカー”より“クリケット”を選んだ英国
英国は欧州連合離脱を正式に通知した。これをスポーツに例えるなら、EUで愛され世界的なスポーツであるサッカーより、英連邦で普及する英国色の濃いクリケットを英国は選んだと言える。そこには、大英帝国の幻想があるのかもしれない。
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遥かなる「ローマの休日」、60年後のEUの憂鬱
3月25日に、ローマでEU特別首脳会議が開催され、英国離脱後のEUの将来像を示すローマ宣言が採択された。しかし、いまEUは創設以来の最大の危機に直面している。EUは分裂に向かうのか。それとも再結束に踏み出せるか。
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EUは危機打開の第1関門を通過したけれど
オランダ下院選で、現職のルッテ首相率いる与党が、議席を大きく減らしたものの、第一党を維持した。オランダ国民の選択はポピュリズムの世界的潮流を変えられるだろうか。小国だが、これまでもオランダが時代の流れを変えたことはあった…
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WBCは「国境の壁」を取り払えるか
米大リーグから有力選手の参加が目立つWBCが始まる。WBCは米国社会の歴史に触れる機会になるはずだ。トランプ大統領は偏狭なナショナリズムに拘るが、選手は「野球に国境はない」ことを証明してほしい。
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トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか
トランプ政権が繰り出す「米国第一」の保護貿易主義や個別企業への強制介入は、経済学の基本原則を大きく踏み外している。にもかかわらず、米経済学者の警告はあまり聞かれない。米経済学者には経済学の基本原理を説く重い責任がある。
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トランプ流排外主義で米EUの亀裂深刻に
トランプ米政権とEUの亀裂が深刻化している。「英国に続いて、EUを離脱する国が出る」と公言するトランプ大統領に、穏健派のトゥスクEU大統領もトランプ政権を「外的脅威」と決めつけた。欧州極右ポピュリストと連動の危険もある。
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ポピュリスト大統領で米国の時代は終わる
米国第一を繰り返す大統領の登場で、「米国の時代」は終わりを告げた。欧州の極右にも通じるこのポピュリスト大統領は米国を分裂状態にしたほか、世界中を不安に陥れる。米欧同盟はきしみ、中東危機は深まり、中ロの台頭を許すことになる…
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米中対立、国家資本主義 VS 国家資本主義
トランプ米大統領の登場により、米中対立のリスクは深刻となる。「国家資本主義」対「国家資本主義」の対立に発展する危険がある。安倍政権には米ロと組んで、中国包囲網を築こうという狙いが見え隠れするが、それはさらに危うい選択だ。
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英米発の世界リスク、救えるのは日独
2016年は、覇権国家でもあった米国と英国が予期できないリスクを世界に拡散した年だった。米英発の世界リスクの連鎖をどう食い止めるかが2017年の大きな課題だろう。危機を救うのが日独だとしたら、歴史は75年で大逆転する。
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格差広げるトランプ流ポピュリズム政策
ドナルド・トランプ米次期大統領のポピュリズム政策は、格差をさらに拡大する危険をはらんでいる。排外主義は結局、米国経済を悪化させ、中間層の雇用を奪う。ウォール街重視の閣僚配置や金融規制の緩和も、格差を拡大するだろう。
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トランプからルペンへの飛び火をどう防ぐか
トランプ氏の勝利が、来年春のフランス大統領選挙へ波及するのではないかという懸念が広がっている。排外主義の連鎖を食い止めるために、まず保護主義を封じる新たな国際連携を確立するしかない。日本は先導役になることが求められる。