シリーズ
岡部直明「主役なき世界」を読む

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ダボスはトランプに乗っ取られたのか
ダボス会議に参加したトランプ大統領は、ダボスという場を意識してか、挑発的な排外主義を封印。米国第一主義は孤立ではないとして「米国の成長が世界の成長につながった」と強調した。TPPに加盟を検討する姿勢までのぞかせた。もっと…
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「トランプ批判」こそ真の「親米」だ
トランプ氏が米大統領に就任してから1年。ただでさえ不安定な「主役なき世界」をさらなる混乱に巻き込んだ。TPP離脱やNAFTA見直し、パリ協定からの離脱、さらにはエルサレム首都宣言やイランの核合意批判で、中東危機をあおる。…
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「政低・経高」の世界に潜むリスク
2018年の世界は、「政低・経高」で始まった。世界経済は、株高や雇用改善で好調を持続し、世界同時好況の様相だ。その一方で「トランプ・リスク」が国際政治を揺るがし、ポピュリズムが世界の潮流となった。問題の根は「政低」と「経…
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「米国の分裂」深めるトランプ税制改革
トランプ米政権の抜本的税制改革が実現したが、大企業や富裕層優遇という批判も強い。大型減税が景気を刺激するのは確かである一方、景気過熱、バブル化の懸念もある。財政赤字拡大を背景に金利上昇や意図せざるドル高に波及し、世界経済…
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2018年、独仏主導でEUは再生軌道に乗る
欧州連合(EU)は2018年、復活の年を迎えるだろう。難民問題を背景にした極右ポピュリズムの台頭など難題を抱えながらも、独仏主導によるEU再生が軌道に乗るとみられる。EU離脱交渉でもがく英国との落差は広がるはずだ。
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「BREXIT」はこれからが難交渉になる
英国のメイ首相とEUのユンケル委員長は、英国がEU離脱にあたり支払う「清算金」など離脱条件でようやく合意した。だが、期限までに第2段階の難交渉がまとまる保証はない。交渉の行方しだいでは、英国経済は致命的な打撃を受けかねな…
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メルケル独首相の窮地で揺らぐ欧州と世界
ドイツの与党キリスト教民主・社会同盟と、自由民主党、緑の党による連立協議は決裂し、メルケル首相は窮地に追い込まれた。社会民主党を含め連立協議を再開するか、少数与党で政権を運営するか、再選挙を実施するか選択を迫られるが、政…
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トランプ流「脱欧入亜」の迷走
トランプ米大統領の長いアジア歴訪は、トランプ流「脱欧入亜」が迷走していることを印象付けた。トランプ・アジア外交がもたらした最大の特徴は、中国の悲願であった「米中新大国関係」をトランプ大統領が事実上、容認したことだろう。
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FRB次期議長にグリーンスパンの教訓
FRBの次期議長に指名されたパウエル氏は、グリーンスパン元議長と共通項が多い。グリーンスパン氏は、マエストロと呼ばれたが、株価重視の金融政策に傾斜し、リーマンショックの遠因をつくった苦い教訓がある。パウエル氏はその教訓を…
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「独立」か「孤立」か、揺れる欧州
「独立」か「孤立」かで、欧州が揺れている。EUからの「独立」をめざす英国、スペインから一方的に独立を宣言したカタルーニャ州。「独立」への想いが結局「孤立」につながりかねないという点で同様の立ち位置にある。そして、いずれも…
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試されるカタルーニャ文化の普遍性
独立問題に揺れるスぺインのカタルーニャ州。同州出身の偉大なチェリスト、パブロ・カザルスはかつて、平和への願いを込めて民謡「鳥の歌」を奏でた。対立の深まる今、すべての人が「鳥の歌」に静かに耳を澄ます時なのかもしれない。
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中国顔負けの「金融社会主義」日本
「金融社会主義」から脱しないかぎり、いつまでたっても東京は国際金融センターにはなれないだろう。日銀が政府から独立性を取り戻すことが先決である。金融行政は成長戦略の一翼を担うのではなく、金融安定の原点に戻るしかない。
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「鉄の女」を超えたメルケル独首相
ドイツの総選挙でアンゲラ・メルケル首相は4選を実現した。メルケル首相にはまず難民問題で極右台頭を許したドイツ社会の分断を修復し、マクロン仏大統領とのMMコンビで英国の離脱に伴うEU再生を主導することが求められる。
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車は「EVシフト」、世界は「EUシフト」
英仏がそろって自動車分野でのEVへのシフトを打ち出し、世界の自動車メーカーが一気に追随している。語呂合わせではないが、欧州発のこの「EVシフト」と並行して、米国の信認低下による世界の「EUシフト」が同時進行している。
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「米国第一主義」を笑えぬ「日本第一主義」
トランプ大統領の「米国第一主義」が世界の「反面教師」になっているというのに、日本では「日本ファーストの会」が登場した。「米国第一主義」が米国経済の競争力を削ぐように、「日本第一主義」も日本経済の出口を塞ぐ。「開放なくして…
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北朝鮮の暴挙、核危機の今こそ核廃絶に取り組め
北朝鮮が3日、6回目の核実験を強行。ICBM搭載用の水素爆弾の実験に「完全に成功した」としている。国際社会は結束して、全面的な経済制裁に踏み出す必要がある。破綻国家への道を歩む北朝鮮にとってはどんな経済制裁も効果がある。
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トランプ米大統領に見る「魚は頭から腐る」
「魚は頭から腐る」はロシアの格言だが、この格言がいま最も当てはまるのは、トランプ米大統領だろう。白人至上主義を容認するかのような大統領の発言が米国社会の分断と混乱を招いている。トランプ流排外主義をやめ「ふつうの米国」に戻…
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遠のく「核兵器なき世界」、被爆国の重い責任
トランプ米大統領は「核兵器なき世界」の目標を見直し、核戦力の増強を打ち出した。これに対して、プーチン・ロシア大統領も核戦力の近代化と増強を表明。こうした中で、唯一の核被爆国である日本の役割は決定的に重要である。
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第3の敗戦、日本はなぜドイツに敗れたか?
戦後72年、日本は「第3の敗戦」に直面している。第2次大戦の敗戦国としてともに「奇跡の経済復興」を遂げ、経済大国になった日独だが、いま日本はドイツに経済、外交、そして国際的な存在感で大きな差をつけられた。その理由とは…。
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金融正常化で協調する世界、日銀は出口なしか
超金融緩和を続けてきた世界各国の中央銀行は一斉に金融正常化に動いている。その中で、日銀は超緩和の継続をうたうばかりで、「出口なし」の状態を続けている。出口戦略すら議論できない状況は、アベノミクスの限界を示している。