シリーズ
岡部直明「主役なき世界」を読む

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「トランプ第一主義」が崩す世界秩序
これは「米国第一主義」どころか選挙目当ての「トランプ第一主義」というべきだろう。米欧の亀裂は、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を経て、貿易から安全保障に拡大した。
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BREXITで英国は3度目のオウンゴール
英国は欧州連合(EU)離脱=BERXIT=をめぐって、3度目のオウンゴールを演じてしまった。1度目の誤りは、BREXITの国民投票の実施であり、2度目の誤りはメイ首相が総選挙前倒しを強行して少数与党に転落したことだ。
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「米国の時代」の「終わりの始まり」
トランプ米大統領がついに自由貿易体制の拠り所である世界貿易機関(WTO)からの離脱を示唆した。これは米国主導の戦後体制を自ら葬り去るものである。「米国の時代」が終わろうとしている。
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ワールドカップの国際政治学
サッカーのワールドカップには国際政治の力学が反映される。4年前のブラジル大会の覇者、ドイツは「独り勝ち」といわれる絶頂期だったが、今回は第1次リーグで敗退した。メルケル首相が難民問題に窮地に陥っているのと重なる。
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「弱者の恫喝」対「強者の恫喝」の行く末
超大国である米国と貧しい北朝鮮の経済力の差はとてつもなく大きい。そんな超大国から「対等の首脳会談」を引き出したのだから、北朝鮮による「弱者の恫喝」がいかに大きかったかを物語る。
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「強者の恫喝」に抗したサミット精神
今回のG7首脳会議で、トランプ大統領の国際協調嫌いはますます鮮明になった。米国に不利になると判断すれば、WTOの在り方に厳しい要求を突き付ける可能性もある。
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トランプ発の貿易戦争、最大の敗者は米国
貿易戦争に勝者はいない。しかしはっきりしているのは、世界中を相手に、2国間主義の発想でトランプ発の貿易戦争を仕掛けた米国が「最大の敗者」になることだ。
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「イタリア式狂騒曲」しかしEU離脱はない
ユーロ圏経済で第3位のイタリアで政治混迷が収まらない。ユーロ離脱派の財務相候補に、マッタレッラ大統領が拒否権を発動した。
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マハティールとリー・クアンユーの間
マハティール氏は、ヨーロッパ中心主義のアンチテーゼとしてアジアを位置付ける。「ほんとうはアジア人が先に欧州を発見したのである」と指摘していたほどだ。一方、シンガポール初代首相のリー・クアンユー氏は、グローバル主義を貫いた…
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「ミスター離脱」トランプが招く世界の亀裂
名付けるなら「Mr. Withdrawal」(ミスター離脱)だろうか。環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して保護主義に走ったドナルド・トランプ米大統領がこんどはイラン核合意から離脱すると表明した。
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「核兵器なき世界」へ「蚊帳の外」日本の正念場
南北朝鮮首脳は板門店で会談し、「完全な非核化を通じて核なき朝鮮半島を実現する」という共同宣言に署名した。米仏、米独首脳会談では、イラン核合意の継続が最大の争点になった。
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「魚は頭から腐る」日米のいびつな蜜月関係
「魚は頭から腐る」はロシアのことわざである。世界にはびこる強権政治にその傾向はあるが、最も顕著なのは、日米だろう。その日米がいびつな「蜜月」関係を続けることこそ、世界リスクである。
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大谷讃える米国とトランプ流が通る米国
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手に対するフィーバーぶりは、米国が懐の深い社会になってきたしるしだ。一方で、トランプ米大統領の「米国第一主義」は、狭量そのものだ。
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バッハ、ヘンデル生誕333年、欧州の新しい現実
1685年にドイツに生まれたバロック音楽家、バッハ、ヘンデルの2人。その一方のヘンデルはイタリアでオペラを学び、英国で音楽を大衆に広めた。そして英国に帰化する。そのエピソードは、産業革命前夜の英国の吸引力の大きさを示して…
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トランプ暴走に巻き込まれる世界経済
米中貿易戦争を仕掛け、輸入制限を強行したトランプ米大統領の暴走が世界経済を巻き込んでいる。国際協調派の相次ぐ辞任でブレーキ役を失ったトランプ保護主義は歯止めがきかない。それは世界同時株安に直結した。1930年代、米国発の…
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トランプ発の貿易戦争をどう防ぐか
トランプ発の貿易戦争が始まる危険が高まってきた。トランプ米大統領は3月8日、安全保障を理由に、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課す輸入制限措置の発動を命じる文書に署名した。貿易戦争に勝者はなく、世界経済の悪化に…
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メルケル独首相は世界のアンカーに戻れるか
メルケル独首相はようやく4期目に入れることになった。政治空白は5カ月に及び、メルケル首相の求心力は低下したが、国際協調を主導し「世界のアンカー」役を担うことが再び期待される。独仏連携をてこにユーロ改革などEUを再起動させ…
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強権政治家と独占企業家が牛耳る世界
世界は、いま強権政治家と独占企業家に牛耳られようとしている。政治の世界では、極右ポピュリズムの台頭もあって、中道政治は脇に追いやられる。一方、グローバル経済は米国のITビッグ5が新市場を独占している。民主主義と資本主義は…
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核軍拡競争が招く世界経済危機
北朝鮮の核開発に加えて、米ロの核軍拡競争がまた始まろうとしている。「核の危機」の時代に逆戻りすれば、米財政赤字拡大によるドル高や金利上昇などが進み、世界経済を混乱に巻き込む恐れもある。
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世界株安の波紋、トランプ・バブルの矛盾が露呈
米国の株式市場は5日、史上最大の下げ幅を記録し、世界中を株安の連鎖に巻き込んだ。直接のキッカケは、雇用拡大で賃金が予想以上に上がり長期金利上昇を招いたことだと言われるが、その背景には「トランプ・バブル」の矛盾があった。