BREXIT交渉で英国は難局に

 英国のEU離脱(BRXIT)をめぐる交渉は、英国がEUに支払う清算金など離脱条件で合意し、通商協議など第2ラウンドの交渉に入れることになった。離脱条件のなかで、清算金のほか、英国在住のEU市民とEU在住の英国民の権利保護では進展したが、北アイルランドとアイルランドの国境問題は、通商協議のなかで解決するとして事実上、持ち越された。

 離脱条件をめぐる交渉でさえ難航したのだから、来年1月から始まる第2ラウンドの交渉は難航必至といわざるをえない。合意には英国とEU各国の議会の承認を得る必要があり、交渉はあと10カ月で実質的に決着しなければ、離脱期限の2019年3月29日に間に合わなくなる。まず移行措置(激変緩和)の設定期間をどうするかが話し合われる。メイ英政権は2年間を想定しているが、英国内にはもっと十分な期間が必要だという指摘もある。一方で、EU側ではできるだけ短期間にするよう求めている。

 メイ政権は移民の規制を強化し単一市場や関税同盟から完全離脱のうえで、自由貿易協定(FTA)を結ぶ方針だ。このFTAには金融サービスも含めたい意向だが、EU側は「いいとこ取りは許さない」という強い姿勢である。

 BREXITで英国は圧倒的に不利な立場に置かれている。交渉が難航し、あるいは長期化して先行き不透明感が強まれば、英国経済を支えてきた外資は欧州大陸などに移転せざるをえなくなる。EU市場と外資に依存する英国経済は、致命定な打撃を受ける。EUに照準を合わせてサプライチェーンを構築してきた多国籍企業は英国離れも検討する必要に迫られる。

 国際金融センターとしての歴史と伝統を誇るロンドン・シティーの地位も盤石ではなくなるだろう。事実、主要金融機関はパリ、フランクフルト、アムステルダム、ダブリンなどへの機能分散を真剣に検討している。

 外資流出でポンドが危機に見舞われる恐れもある。スタグフレーション(不況とインフレの同時進行)のもとで、イングランド銀行の金融政策は身動きが取れなくなるだろう。BREXITで英国は「新英国病」に直面しかねない。それは当然、EU経済にはねかえるが、欧州大陸の経済界にはBREXITは「ユーロ圏経済ではなく英国経済の問題だ」という冷ややかな見方が多い。

難民問題で「東西亀裂」

 EUにとって頭痛の種は、難民問題を背景にした極右ポピュリズムの台頭である。2017年はオランダ、フランスの選挙で極右台頭を封じ込めたが、肝心のドイツ、オーストリアでは極右の進出を許した。メルケル独首相の足元でAfD(ドイツのための選択肢)が議席を獲得したのは大誤算だったし、オーストリアでは極右が政権入りする有り様だ。反EUの姿勢は取らないと約束させられたが、権力を持てば本音が顔を出す危険もある。ヒットラーを生んだ国々の極右進出はやはり深刻である。