独仏主導のEU再生、再起動

 14、15日のブリュッセルでのEU首脳会議でマクロン仏大統領と並んで記者会見したメルケル首相は、久々に晴れやかな表情にみえた。独仏連携が再稼働する手ごたえを感じているからだろう。

 マクロン大統領にとっては実は、ドイツの「ジャマイカ連合」破談は願ってもない展開だった。マクロン大統領は、ユーロ共通予算、ユーロ財務省などユーロ改革構想を優先課題として提案しているが、これにドイツ自民党は真っ向から反対していたのである。ドイツでかりに「ジャマイカ連合」が成立していたら、マクロン構想ははじめから構想倒れに終わっていただろう。マクロン構想に理解があり、それに共鳴する社民党の復帰は構想実現に道を開くことになる。

 マクロン大統領は、フランス国内での支持率低下が目に付くが、それは痛みを伴う改革を先行させているからだ。財政赤字削減のための歳出カットや労働市場改革などである。悪評も覚悟で改革に早めに手をつけ、「ドイツ独り勝ち」の構造を打破するのが狙いである。国内で不人気の戦略が成功するかどうかは、EU内で独仏主導の路線をよみがえらせることができるかどうかがカギを握る。

ECBは慎重な「出口戦略」

 幸い、ユーロ危機はおおむね収束し、ユーロ圏経済は2017年には2%を上回る成長が期待できる。ユーロ圏で改革の成果が出始めているためだが、それを本格的な雇用創出につなげるには、さらなる改革が求められる。

 欧州中央銀行(ECB)は、量的緩和の縮小に着手したが、金融正常化の過程を慎重に歩む構えである。これには、ドイツ連銀などタカ派から反発もあるが、ドラギ総裁の慎重な姿勢は妥当な戦略だろう。イタリアの銀行危機やギリシャの債務問題など危機の火種が完全に消えたわけではないからだ。

 米連邦準備理事会(FRB)はすでに利上げ局面にあるが、ECBはこれにすぐに追随する気配はない。ECBが利上げの転じるのは2019年半ばになるというのが、フランクフルトの金融街の主流の観測である。といって、日銀のように、いつまでも超緩和を続けるというわけでもない。ドラギ戦略は、ユーロ圏経済の好転と低インフレに対応した極めて現実的な政策スタンスといえるだろう。