EUの行方を左右する仏大統領選

 来年春の仏大統領選は、英国のEU離脱決定を受けてEUの将来にかかわる重要な選挙である。心配なのは絶対的な有力候補がおらず、混戦模様になっていることだ。社会党のオランド大統領の支持率は極めて低く、日本でも「オランドはどこに行った。どこにもオランド」などと揶揄されるほどだ。38歳のマクロン前経済相の出馬表明で一層、混沌としてきた。

 共和党は予備選第1回投票で、フィヨン元首相とジュペ元首相の争いと決まり、右派のサルコジ前大統領は脱落した。

 こうしたなかで、ルペン氏は最終の決戦投票に残る可能性が高いといわれる。ルペン氏は反EUの急先鋒であり、大統領になれば、EU存続の是非を問う国民投票を実施すると主張してきている。いまのところ、決戦で共和党候補が勝利するというのが大方の見方だが、トランプ登場が追い風になれば予断は許せない。仏大統領選の結果しだいで、EUは重大な岐路に直面することになる。

 問題は、排外主義の風潮が連鎖するところにある。「英国第一」から「米国第一」へ、それが「フランス第一」に連鎖すれば、世界はまるで魚のように頭(先進国)から腐ることになりかねない。

保護主義封じる新たな国際連携を

 排外主義の連鎖を防ぐには、まず保護主義を封じる新たな国際連携を確立するしかない。TPPから米国が離脱することが避けられないなら、さしあたって米国抜きで自由貿易体制を形成するしかない。

 TPP11カ国と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を結合して、広くアジア太平洋の自由貿易圏をめざすことだろう。RCEPの主役は中国だが、アジア太平洋のサプライチェーンなど相互依存を考えれば、当然の選択肢になる。新たな自由貿易圏作りの動きが広がれば、貿易協定に背を向けるトランプ次期大統領も思い直すしかなくなるだろう。米国が再考するなら歓迎すべきだ。

 合わせて、年内決着をめざしている日本とEUの経済連携協定も合意を急ぐことだ。これは保護主義に対する強いけん制にもなる。英国抜きのEUにとっても再結束の足がかりになるはずだ。

 TPPからの米国の離脱や米EU間の自由貿易協定交渉の頓挫など、メガFTA(自由貿易協定)の時代には暗雲が立ち込めているが、TPP11(米国抜きのTPP)とRCEPの結合や日EU経済連携協定など、なお道は残されている。新たな国際連携に取り組むことこそ、保護主義を封じ込める道である。

パリ協定を空洞化させるな

 地球温暖化防止のためのパリ協定は、先進国と発展途上国がこぞって参加する地球規模の枠組みである。日EUなど先進国に限定した京都議定書に比べて格段に意義のある協定だ。米中が先導し、EUも加わって11月4日に発効した。

 批准が遅れた日本は「環境後進国」と思われても仕方がないほどの失態ぶりだった。第22回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP22)のモロッコ会議にはオブザーバーでしか参加できなかった。京都議定書をまとめた当事国としてあまりに情けない。

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