トランプ大統領に「責めるべきは米国の前政権であり、中国ではない」といわせたほどである。共同記者会見で、習近平国家主席は「大統領に『太平洋は十分に広く、中米両国を受け入れられる』と伝えた」と述べている。かねてある米中による太平洋分割論をあからさまに展開している。トランプ大統領の「2国間主義」を逆手に取り、米中の「新大国関係」に持ち込もうという姿勢は鮮明である。

 中国の南シナ海進出にも、トランプ大統領は明確な姿勢を打ち出せなかった。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は中国の南シナ海進出を警戒しながらも、中国の経済支援による実利を優先してきている。フィリピンのドゥテルテ大統領は対中関係を「楽観している」と述べている。そのドゥテルテ大統領との会談で、トランプ大統領は両国関係の修復を優先し、南シナ海問題に踏み込めなかった。それどころか、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席との会談では、対中関係で「仲裁役」を買って出るなど、南シナ海をめぐる対中姿勢を後退させたとみられているほどだ。

「構想力」で米中に落差

 アジア太平洋における「構想力」でも米中にはかなりの差がみられた。習近平国家主席が「一帯一路」にもとづきアジアから欧州、アフリカまで視野に入れた大構想を打ち上げたのに対して、トランプ大統領は「インド太平洋地域」の各国との2国間主義を掲げた。トランプ大統領の「インド太平洋」の発想は、「一帯一路」構想に反発するインドを巻き込んで「中国封じ込め」をめざす日本政府内の考え方も反映されているようだ。しかし、トランプ大統領自身には「中国封じ込め」の発想はまるでないようにみえる。

 「一帯一路」構想にはそれこそ「中国第一主義」が潜んでいるが、習近平国家主席が表向き主張するのは多国間主義と自由貿易である。これに対して、トランプ大統領は多国間主義を排して「米国第一主義」に基づく「2国間主義」を強調する。その落差は明白だ。一体、どちらがグローバル社会のリーダーなのかと問い直したくなる。

対北朝鮮で足並みそろわず

 北朝鮮の核・ミサイル開発は、アジア太平洋の安全保障にとって最重要の緊急課題だが、ここでも足並みの乱れが目立った。トランプ大統領と安倍晋三首相は北朝鮮に対する「最大限の圧力」をかけることで一致し、結束を固めた。安倍首相は「すべての選択肢がテーブルにある」というトランプ大統領の主張を支持している。

 一方で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「最大限の圧力」と合わせて、対話による平和的解決に余地を残した。