「独立」が招く経済危機

 最大の問題は、カタルーニャ「独立」が経済危機を招くことだ。スペイン第2の都市、バルセロナを中心とするカタルーニャ州はスペインの国内総生産(GDP)の2割を占め、産業、観光などを軸に大きな経済力をもっている。「独立」機運が高まったのも、ユーロ危機の打開のため同州の富がスペインの他の地域に回されるという分配への不満が大きな理由である。

 しかし、豊かなカタルーニャ州も「独立」すれば、経済難に苦しむことになるはずだ。事実、「独立」機運のなかで、カタルーニャ州からの本社移転を計画する企業は1500社を超す。中央政府とのあつれきも相まって、観光ビジネスの低迷など、同州は経済危機に見舞われる恐れがある。

 それはスペイン経済全体に跳ね返る。スペインはユーロ圏の弱い輪である「PIIGS」の一角として、ユーロ危機のさなかにあった。最近ようやく危機を克服しかけたばかりである。カタルーニャ「独立」をめぐる混乱が長期化すれば、経済危機は再び深刻化しかねない。それはスペインの株価下落に早くも表れている。

緊張のあと和解への道はあるか

 「スペインあってのカタルーニャ」であり、「カタルーニャあってのスペイン」であるはずだ。緊張のあと和解への道をどう見いだせるかが試されている。ラホイ首相はじめスペイン中央政府は強権化で事態を打開しようとしているが、憲法違反とはいえ住民投票への強権介入など行き過ぎだった。一方で、夢はあっても具体的な展望もない「独立」を掲げて扇動するプチデモン氏らも無責任である。

 カタルーニャ文化の本質は「平和」である。それは「和解」の精神である。カタルーニャはアルベニス、グラナドス、カザルスはじめ世界に誇る音楽家を輩出した地域である。音楽が美しいのは「緊張」のあと必ず「和解」がくるからだ。

 世界のどの国もスペインの「内政問題」に仲介の労を取ろうとはしないだろう。先人の文化と知恵に学び和解を急ぎ、カタルーニャ「孤立」を防ぐ道を探るしかないだろう。