熱狂の先にあるもの

 EU首脳会議の影の主役はスペインのカタルーニャ州だった。どの記者会見でもカタルーニャ独立問題が話題になった。本来、スペインの内政問題であるはずのこの問題に関心が集まったのは、英国のスコットランド、ベルギーのフランドル、フランスのコルシカ島、イタリア北部のロンバルディア州やベネト州、スペイン北部のバスクなど「独立」機運や自治権拡大の連鎖が起きる火種があちこちにあるからだろう。

 スペインのカタルーニャ州議会は住民投票を受けてスペインからの独立を宣言した。これに対して、スペイン政府は自治権を停止し、プチデモン同州首相を解任して直接統治に乗り出すなど強硬措置をとり、事態は緊迫するばかりになっている。

 カタルーニャ州独立問題の背景には、この連載の10月13日付記事「試されるカタルーニャ文化の普遍性」で書いたように、民俗性と普遍性をもつカタルーニャ文化のあり方が深くからんでいる。戦中、戦後のフランコ政権による強圧政治の歴史を抜きに語ることもできない。

 問題は、「独立」への熱狂の先に何が待ち受けているかである。カタルーニャ州は独立後、EUに加盟することをめざしているが、EUのトゥスク大統領は「我々が対話するのはスペインだけだ」と取り合わない姿勢だ。それどころか、仏独英といったEU主要国がスペイン中央政府を支持し「独立」を認めない方針を示しているほか、米国の国務省も「カタルーニャはスペインの一部」とするなど、国際社会の姿勢は鮮明である。

スペイン・カタルーニャ州議会による「独立宣言」を主導したとして、スペイン政府から州首相の職務を解任されたプチデモン氏。(写真:Anadolu Agency/Getty Images)
スペイン・カタルーニャ州議会による「独立宣言」を主導したとして、スペイン政府から州首相の職務を解任されたプチデモン氏。(写真:Anadolu Agency/Getty Images)

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