アルベニスが評価されるのはその民俗性からだろう。フランス印象派の代表的作曲家であるクロード・ドビュッシーはその辛辣な批評でも知られ、大作曲家、ブラームスさえ槍玉にあげられたほどだ。そのドビュッシーがアルベニスを「彼は生まれた土地(カタルーニャ)の多様なメランコリーと独特のユーモアを、ものの見事に活用するすべを知っていた」と高く評価している。

 これに対してグラナドスは民俗性を超えて普遍性をめざしていた。スペイン舞曲集など民俗色の濃い作品と「詩的ワルツ集」などロマン派に属する作品が混在する。カザルスが名づけた「私たちのシューベルト」がふさわしい評価だろう。

グローバル化が刺激する地域意識

 カタルーニャ独立は歴史的背景や文化的背景がからみ合うだけに、簡単には解きほぐせない問題だろう。とくに、グローバル化が進展するなかで、人々は地域意識を強めている。グローバル化と地域意識は対極の概念にみえるが、同時進行している。

 「グローバル化が進めば進むほど、人々はアイデンティティ・クライシス(自己認識の危機)に陥り、地域意識は高まる」。米労働長官をつとめたロバート・ライシュ教授がこう予言したのは冷戦終結直後である。それから28年、EUは紆余曲折を重ねながら、拡大と統合を続けた。大欧州というグローバル化のなかで、EU内の各地域に地域主義のうねりが高まるのは、むしろ自然な現象と考えなければならないだろう。

 問題は、それを「偏狭なナショナリズム」にとどめてしまうか、開かれた世界に視野を広げられるかどうかである。

平和の思想こそカタルーニャの魂

 カザルスは演奏や教授活動とともに平和運動に熱心に取り組んだ。1958年夏には、オルガン奏者でもあるシュバイツァー博士と共同で、軍拡競争や核実験の禁止を米ソに訴えた。「人間の尊厳を信じる人々は、今こそ人間相互の理解を深め、相対立する勢力間に真の和解がもたらされるよう行動すべきだ」と述べている。

 94歳になった1971年10月24日、国連本部でのカザルスの言葉は歴史に残る。チェロを手に取ると、こう聴衆に語りかけた。「鳥たちはこう歌います。『Peace、Peace、Peace(平和、平和、平和)』と。そのメロディはわたしの民族、カタルーニャの魂なのです」。

 いまは、すべての人がカザルスの弾く「鳥の歌」を静かに聞くときかもしれない。

日時:2017年10月30日(月)13:30~15:30
場所明治大学(駿河台)グローバルフロント1F 多目的ホール
パネリスト:田中俊郎氏(慶應義塾大学名誉教授)
      中島厚志氏(経済産業研究所理事長)
      伊藤さゆり氏(ニッセイ基礎研究所上席研究員)
      菅野幹雄氏(日本経済新聞コメンテーター)

司会:岡部直明(明治大学国際総合研究所フェロー、元日本経済新聞主幹)

※事前登録制、途中参加・退室可、参加無料

詳しい情報の掲載場所明治大学国際総合研究所ホームページ

【申込方法】
下に掲載したリンク(申し込みページ)より、申込フォーマットにご記入・送信をお願いいたします。定員になり次第締め切らせていただきますので、お早目のご応募をお願いいたします。皆様のご参加を心よりお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。

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