中国の習近平政権は共産党大会を前に強権化の動きを強めている。仮想通貨の取引停止など「金融社会主義」を徹底している。一方、日本もまた中国顔負けの金融社会主義が進行している。米欧が超緩和政策からの出口戦略に動いているのに、日銀では出口論議さえ封じられている。日銀の独立性が損なわれている証拠である。

 日銀が指数連動型上場投資信託(ETF)購入を通じて株式市場をゆがめているのも異様な光景だ。金融庁が公正で中立的な審判役から、成長戦略の一翼を担う「金融育成庁」に転換するのも介入主義の表れだろう。官民ファンドなど政策金融の肥大化も進む。金融社会主義がはびこるようでは、国際金融センターへの道も遠ざかるばかりだ。

中国人民銀行と見まがう日銀の政府依存

 世界の中央銀行では、いま3人のトップの後継人事に注目が集まっている。米連邦準備理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長、日銀の黒田東彦総裁、そして中国人民銀行の周小川総裁である。イエレン議長や黒田総裁は続投の可能性があるが、在任14年の周総裁の退任は確実視されている。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁。在任期間が15年に迫ることから、退任が確実視されている。(写真:AP/アフロ)

 国際金融界では周総裁は著名な「通貨マフィア」である。中央銀行総裁の集まりである国際決済銀行(BIS)の場や国際通貨基金(IMF)などでは、存在感は大きかった。アラン・グリースパンFRB元議長らも高く評価していた。人民元改革に取り組み、人民元をSDR(IMFの特別引き出し権)の構成通貨に押し上げた。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設にも尽力してきた。

 国際金融界で一目置かれる周総裁だか、中国の権力構造を示す共産党の序列は決して高くない。そもそも人民銀行は政府にあたる国務院の1部門にすぎない。利上げなど金融政策の運営には国務院の許可が必要だ。習近平国家主席の意向に従って金融政策は運営される。例えば、人民銀行は9月30日、預金準備率を引き下げたが、共産党大会を控え弱者への融資拡大をめざす習近平政権の意向が反映されている。