ヤルタ会談は、米ソ冷戦への導火線であった(写真=Everett Collection/アフロ)

 その「大国意識」が欧州統合という大潮流に乗り遅れ、さらにはEU離脱を選択するという過ちを犯したといえる。

 ヤルタ会談は、米ソ冷戦への導火線でもあった。米ソ冷戦でソ連は社会主義陣営の盟主として君臨したが、米ソ軍拡競争に傾斜し、経済破綻を招く。経済の実力を超えて軍備増強をする国家は破綻する。

 プーチン大統領の拡張主義は旧ソ連の後を追っているようにみえる。国民生活を圧迫してまで拡張主義を続ければ、ソ連崩壊の二の舞を演じかねない。プーチン大統領がソ連崩壊の失敗に学べるか試される。

日本への教訓

 英露に共通しているのは、抜きがたい「大国意識」である。それは、人口減少社会下で先進国最悪の財政危機にある日本にも大きな教訓になる。

 日本の財政は、ギリシャやイタリアといったユーロ圏の弱い輪よりずっと悪い。この両国は基礎的財政収支をとっくに黒字化している。日本は黒字化を先送りしたままだ。日本の長期債務残高の国内総生産(GDP)比は2.3倍と桁外れに巨額だ。

 にもかかわらず、財政再建は自民党総裁選でも争点にならず、与野党通じて「財政ポピュリズム」が蔓延している。この財政赤字を日銀の事実上の「財政ファイナンス」で穴埋めする構造は深刻だ。アベノミクスに出口はなく、次の世界経済危機への備えもできていない。

 沈む英露のあとを日本が追うことになるのは何としても避けたい。「大国意識」を捨て、財政の「不都合な真実」を直視するしかない。