24日投開票のドイツ連邦議会選挙で、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が勝利した。だが一方で、新興右派「ドイツのための選択肢(AfD)」が第3党に躍進、ドイツ社会に衝撃を与えた。(写真:AP/アフロ)

 ドイツの総選挙でアンゲラ・メルケル首相は4選を実現した。「鉄の女」マーガレット・サッチャー英首相を超えて、より柔軟で懐の深い指導者として世界中から視線を集める存在になった。そのメルケル首相にはまず難民問題で極右台頭を許したドイツ社会の分断を修復し、マクロン仏大統領とのMMコンビで英国の離脱に伴う欧州連合(EU)再生を主導することが求められる。さらにトランプ米大統領の排外主義や北朝鮮の核危機など混迷の度を増す世界にあって、最後の「アンカー」役として重い課題を背負っている。

極右台頭の衝撃

 「もう少しよい結果を期待していたのだが」とメルケル首相はもらした。総選挙の結果は、4選を実現したメルケル首相には苦いものになった。首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は第1党になったものの、議席を大幅に減らした。

 それ以上に、反難民、反イスラム、反ユーロの極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が第3党になり、初めて議席を獲得したのは大きな衝撃だった。オランダ総選挙、仏大統領選と極右ポピュリズム(大衆迎合主義)を封じ込めてきたのに、ナチスの反省が根付いているはずの肝心のドイツで息を吹き返したとすれば、深刻である。

 大連立を組んだ社会民主党(SPD)の落ち込みは大きく、シュルツ党首は連立離脱を表明した。メルケル首相は自由民主党、緑の党との連立を模索するが、環境問題などで政策スタンスの違いは大きく、連立交渉は難航が避けられそうにない。

米独亀裂 ──「握手」の政治学

 4期目に入るメルケル首相が「世界のアンカー」として期待されるのは、トランプ米大統領の排外主義や暴言癖が世界の「反面教師」になっているからでもある。米独首脳のケミストリー(化学反応)の悪さは、おそらく戦後初めてだろう。

 メルケル首相とトランプ大統領の関係は初めての首脳会談から、ぎくしゃくしたものになった。テレビカメラの前で、まず握手をしようとメルケル首相が差し出した手をトランプ大統領は知らないふりをして握り返さず、そっぽを向いていた。それがトランプ大統領の意思表示だった。