グローバル経済の中で生きるしかない日本は、「排外主義」とは異なる道を歩む必要がある。(写真:ロイター/アフロ)

 ドナルド・トランプ米大統領の「米国第一主義」は人種差別もからみ、米国の亀裂を深めている。今月5日に発表された不法移民の子の在留許可撤廃の方針は米経済界の強い反発を招いている。「米国ファースト」が世界の「反面教師」になっているというのに、日本では「日本第一主義」がはびこっている。なにしろ政治の世界では「日本ファーストの会」が登場する有り様だ。安倍晋三政権が推し進める「1億総活躍社会」にも「日本第一主義」の色合いがにじむ。対内直接投資残高の国内総生産(GDP)比は各国に比べて桁外れに低い。移民、難民に対する排外姿勢はトランプ大統領顔負けだ。「日本第一主義」を振り切らないと、日本経済は袋小路から抜け出せないだろう。

米国を劣化させる自国本位主義

 就任以来、トランプ米大統領は移民、難民排斥の措置を相次いで打ち出しているが、不法移民の子供たちの在留を許可する制度の撤廃は、「移民の国」米国の社会と経済を根底から揺さぶる措置である。白人至上主義者のレッテルを貼られた最側近のスティーブ・バノン首席戦略官が退任に追い込まれたあとも、排外主義の本質に変わりがないことを示した。

 不法移民の子の在留許可制度は、オバマ前大統領が大統領権限で導入したもので、「移民の国」らしい開かれた仕組みと評価されてきた。親と不法入国した子供を対象とし、一定の条件を満たせば、強制送還は2年間凍結され、就労許可も得られる。「米国の夢」を追う「ドリーマー」制度と呼ばれてきた。

 このドリーマー制度は米国経済を雇用、消費両面で下支えするだけでなく、ハイテク分野を中心に米国の競争力を高める原動力になってきた。この制度の撤廃で経済損失は50兆円にのぼるという試算もある。当然、米経済界は強く反発しているが、なかでもハイテク企業トップの批判は強烈だ。シリコンバレーに集まる新興のハイテク企業は移民依存度が高いだけに、移民排斥は命とりになりかねないと警戒する。