明暗分けた近隣諸国との連携

 日本とドイツで明暗を分けたのは、近隣諸国と融和・連携ができたかどうかである。独仏の歴史的和解を土台にして、EUは進展した。ユーロ危機や難民問題など課題を抱えながらも、EUが「大欧州」の道を歩んでいるのは、そこに和解の精神があるからだ。

 欧州統合の父、ジャン・モネの統合構想を受け入れたアデナウアー西独首相は「ドイツの首相は良きドイツ人であると同時に、よき欧州人であるべきだ」と強調した。この精神は歴代首相に引き継がれている。

 とくに、フランスとの連携しだいでEUの行方が決まる。メルケル・マクロンの「MMコンビ」は、先進国首脳会議(サミット)を創設して石油危機を打開したシュミット・ジスカールデスタン以来の強力コンビになるとみられている。

 これに対して、日本は戦後72年たっても、中国、韓国との和解を完全には実現していない。独仏和解のような平和への土台が東アジアにはない。たしかに、中国の海洋進出や韓国の慰安婦問題など中韓側に問題があるのは事実だが、偏狭なナショナリズムをあおるのではなく、融和の精神こそ発揮すべきである。東アジアでは、貿易、投資など経済相互依存はEU並みの水準に達している。日本が中韓と和解できれば、東アジアにもEU並みの巨大経済圏ができるはすだ。環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したトランプ米政権を引き戻す吸引力にもなるだろう。

ドイツに再び学ぶこと

 戦後復興の過程では、互いにライバル視してきた日独だが、経済、外交で大差をつけられたいま、再びドイツに学び直すしかない。第一に、財政規律を取り戻すことである。成長重視はいいが、成長頼みではなく、歳出削減、増税で財政目標を達成するしかない。第2に、通貨安に依存しないことだ。円高のメリットを生かす強靭な経済構造こそめざす必要がある。第3に、近隣諸国との緊張を避けるため防衛予算は抑え、GDP比1%の原則を守ることだ。ドイツの信認は、北大西洋条約機構(NATO)内で応分の負担には応じるものの、軍事には慎重で大国フランスの前には決して出ないことによって、得られた。

 日本が磨きをかけるべきは、ソフトパワーである。唯一の被爆国、環境先進国としての発信力を高めることで、国際社会のリーダーであるドイツに一歩近づくことができるはずである。