8日に閉幕したG20では、トランプ米大統領の「米国第一主義」と多国間の国際協調主義がぶつかり、米国とその他の国が1対19に分かれて結束できない場面が多かった。(写真:ZUMA Press/アフロ)

 ドイツのハンブルクで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議は「米国の時代」の終わりを鮮明に示した。トランプ米大統領は「国際協調の壊し屋」として振る舞い、地球温暖化防止や保護主義防止で他の19カ国との溝を深めた。とりわけ世界秩序を共に担ってきた米欧の亀裂は深刻化した。その一方で、G20首脳会議を前に、日本と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)締結で大枠合意した。停滞する自由貿易を前進させる重要な一歩である。中国とEUのユーラシア連携も進行している。トランプ流排外主義によって、国際政治の力学は大西洋同盟から欧亜連携へと大きく転換し始めている。

「国際協調の壊し屋」トランプ大統領

 G20首脳会議でのトランプ米大統領の振る舞いは、まさに「国際協調の壊し屋」と呼ぶにふさわしかった。首脳会議の焦点である地球温暖化防止のためのパリ協定をめぐる討議では、席をはずしてロシアのプーチン大統領との長談義に及んだ。これは自ら離脱を表明しているパリ協定をさらに足蹴にするようなものである。米国発の世界経済危機、リーマンショック後に設けられたG20首脳会議を軽視する態度ともいえる。

 このG20首脳会議の議長であり、反トランプの姿勢を鮮明にしているメルケル独首相への「意図した非礼」でもあった。先のG7首脳会議を受けて、メルケル首相は地球温暖化防止に消極的で、保護主義の防止にも難色を示したトランプ大統領に業を煮やして「これからは他国(米国)に頼れない時代になる」と述べている。G20首脳会議でのトランプ大統領の言動は、そんなメルケル首相へのしっぺ返しともいえる。