次の世界経済危機にどう協調するか
先進国首脳会議は石油危機を受けて創設された。G20首脳会議は、リーマン・ショックに対応して設けられた。サミットの枠組みは、経済危機と無縁ではない。問題はG7首脳会議がG6プラス1に分裂するなかで、次なる世界経済危機にどう協調して対応するかである。
まずトランプ保護主義そのものが世界経済を減速させる恐れがある。米中摩擦が深刻化すれば、影響は世界に及ぶ。メキシコに反米左翼政権が登場すれば、北米自由貿易協定(NAFTA)崩壊のリスクも出てくる。何よりトランプ政権が輸入制限を鉄鋼から自動車に拡大すれば、日欧への打撃は深刻になる。
世界経済危機の恐れも
それに米国の出口戦略による金利上昇で、トルコやアルゼンチンはマネーが流出して通貨が急落している。イタリアの極右・ポピュリスト(大衆迎合主義)政権の登場やスペインの少数与党政権の誕生など、EUにも南欧リスクがある。危機の芽はあちこちにあるといわざるをえない。
世界経済への不安が連鎖するなかで、トランプ政権が「強者の恫喝」を繰り返すなら、G7の国際協調どころではなくなる。5日付のこのコラムで指摘したように、トランプ発の貿易戦争で最大の敗者は米国なのである。
トランプ政権がこの経済の現実に早く気づき、保護主義から自由貿易にカジを切りさえすれば、すべてが好循環になる。国際協調は息を吹き返し、世界経済危機も食い止められるだろう。逆に、トランプ大統領が11月の中間選挙をにらんで保護主義路線を突き進めば、世界経済危機に陥る危険も高まる。
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