その一方で、イランのロウハニ大統領は「米国は約束を守らない」と指摘している。いったん合意しても、自己都合で廃棄もありうるということになる。この「2重のメッセージ」にどう対応するか、北朝鮮の金正恩委員長も戸惑うはずだ。トランプ大統領にどう対すべきか、中国の習近平国家主席と急きょ会談するなど、あせりも見え始めている。

日本はここでも「蚊帳の外」か

 日本の反応は鈍い。河野太郎外相が「核合意の維持を困難とする大きな影響が出るとすれば残念だ」とする談話を発表しただけで、安倍晋三首相からの声明は聞かれない。おりからの日中韓首脳会談でも話題にならなかった。トランプ大統領との電話会談でも米朝首脳会談への情勢分析にとどまり、イラン核合意離脱については話していない。

 もともと日本は、米英仏独中ロの主要6カ国とイランで進めたイラン核合意の「埒外」に置かれていた。しかし、核合意そのものは継続すべきとの立場だった。米国が経済制裁を再開すれば、原油輸入や日本企業への影響も避けられなくなる。少なくとも、トランプ大統領にイラン核合意からの離脱で、苦言を呈していいはずだ。北朝鮮をめぐってトランプ大統領と蜜月関係を維持したいのだろうが、欧州を含め国際社会の潮流にも目配りが欠かせないはずだ。

「オバマ返し」連鎖の危険

 トランプ大統領はオバマ前大統領の国際合意を次々に葬り去ってきた。国際合意の「ちゃぶ台返し」は「オバマ返し」といっていい。イラン核合意からの離脱に続いて、「オバマ返し」の連鎖が始まる恐れがある。

 ユネスコからの離脱に続いて、世界貿易機関(WTO)からの離脱も想定しておかなければならないだろう。中間選挙や次の米大統領選を視野に入れた「ミスター離脱」が世界をさらに揺るがす危険がある。