フランスの大統領選挙は、中道で親欧州連合(EU)のエマニュエル・マクロン氏が極右で反EUのマリーヌ・ルペン氏を大差で破った。39歳の若き大統領の登場はフランスが「怒り」より「希望」を選択したことを示している。英国のEU離脱決定、米国でのドナルド・トランプ大統領の登場と世界に広がったポピュリズムの潮流は転換点を迎えた。フランスは「自国第一」という英米の選択を「反面教師」にしたのである。新大統領はフランス経済の再生とともに、危機にさらされたEUの再生という歴史的責務を担っている。

フランス大統領選の決選投票で、極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン候補を破って勝利したエマニュエル・マクロン氏。(写真:ZUMA Press/amanaimages)

BREXIT、トランプ登場が反面教師に

 マクロン氏の大勝は、世界の流行に距離を置くフランス人の天邪鬼(あまのじゃく)ぶりがいかんなく発揮されたものともいえる。米国でロナルド・レーガン大統領、英国でマーガレット・サッチャー首相という新自由主義路線が主流になったとき、フランスが選択したのは社会主義のフランソワ・ミッテラン政権だった。BREXIT、トランプ登場と主要先進国で蔓延したポピュリズムは、フランスの選択によって封じ込まれたといえる。

 極右ポピュリズムへの拒否反応は、欧州大陸ですでに表面化していた。昨年末のオーストリアの大統領選、そして3月のオランダの総選挙で極右の頭打ちが鮮明になった。ナチズムへの根深い警戒感から、欧州大陸には極右が台頭すればするほど、その拒否反応も強まる傾向はあった。それが「反ポピュリズム」の新たな潮流になったのは、BREXITやトランプ大統領の極端な排外主義が世界を揺るがす事態になってきたからだ。それが反EUという形でEUの存続にまで波及することへの危機感は強かった。英米の選択は、フランスなど欧州大陸では反面教師にされたのである。