朝鮮半島の完全な非核化をうたった「板門店宣言」には、日本を「蚊帳の外」に置くかのような内容が盛り込まれていた (写真:代表撮影/AFP/アフロ)

 南北朝鮮首脳は板門店で会談し、「完全な非核化を通じて核なき朝鮮半島を実現する」という共同宣言に署名した。米仏、米独首脳会談では、イラン核合意の継続が最大の争点になった。核をめぐる歴史的な展開のなかで、日本は「蚊帳の外」に置かれているようにみえる。

 しかし「核兵器なき世界」をまず主張しなければならないのは、唯一の被爆国である日本であるはずだ。核兵器禁止条約への加盟をてこにして、「朝鮮半島の非核化」を確かにするともに、米ロ中をはじめ核保有国に核軍縮を徹底するよう強く求めることだ。被爆国・日本には、同盟国・米国の「核の傘」を超えて、自ら「核兵器なき世界」への歴史的展開を駆動する地球責任がある。

北朝鮮で「蚊帳の外」なのか

 朝鮮半島の完全な非核化をうたった「板門店宣言」には、日本を「蚊帳の外」に置くかのような内容が盛り込まれていた。「年内に朝鮮戦争の終戦宣言を行い、休戦協定を平和協定に転換するため南北朝鮮と米国または南北朝鮮と米国、中国の協議を進める」としている。平和協定に向けて、南北、米の3カ国協議か南北、米中の4カ国協議を実施することを明記している。

 これは北朝鮮問題をめぐる従来の6カ国協議を、日本、ロシアを除外して、南北朝鮮と米中両大国だけに委ねることを意味している。

 核、ミサイル開発に国の存続をかけてきた金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、米朝首脳会談を頂点とする対話路線に転じたのは、米国、日本を中心とする圧力の結果だったのは確かだろう。経済制裁の強化が金正恩体制を窮地に追いやったのは間違いない。とりわけ最大の支援国である中国が制裁強化の列に加わったことが響いたはずだ。南北朝鮮首脳会談、米朝首脳会談を前に、金正恩委員長がまず訪問したのは中国だった。冷え込んでいた習近平国家主席との関係修復は、対話路線への転換の土台になった。

 南北首脳会談後の記者発表で、金正恩委員長は「朝鮮半島の非核化」には一言も触れなかった。まして、非核化への具体的な道筋を示すはずはなかった。「検証可能で不可逆的な非核化の具体的な道筋」は、トランプ米大統領との米朝首脳会談まで、取り置かれていると考えるべきだろう。11月の中間選挙を控えて米朝首脳会談の成果を誇りたいトランプ大統領へのお膳立てといえる。

 朝鮮半島問題が南北朝鮮と米中の4カ国で動くなかで、安倍晋三首相は拉致問題などでトランプ大統領や文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領に依頼するしかない状態だ。その「間接話法」には、どうしてももどかしさが残る。

イラン核合意でも埒外

 歴史的な南北首脳会談とほぼ同じころ、ワシントンでは米仏首脳会談、さらには米独首脳会談が開かれた。こちらは、トランプ政権の保護主義とともにイラン核合意の継続が最大の争点になった。マクロン仏大統領は、イラン核合意からの離脱をちらつかせるトランプ大統領に、核合意の枠内にとどまらせようと修正案を提示した。しかし、これには肝心のイランやロシアが反発している。メルケル独首相もイラン核合意にとどまるべきだとトランプ大統領を説いたが、溝は埋まらなかった。