(写真=AP/アフロ)

 米国フロリダでの日米首脳会談で、浮き彫りになったのは、「トランプ・リスク」と「安倍リスク」によるいびつな日米関係だった。米国第一主義によるトランプ米大統領の暴走は、世界経済を保護主義に巻き込む危険がある。

 ロシア疑惑のなかで米中間選挙を迎えるトランプ大統領は一層、排外主義、保護主義に傾斜するだろう。同盟国首脳として、安倍首相は大統領に反保護主義を直言すべき立場なのに、蜜月を保つことばかり優先した。それは危機を容認しているようなものだ。足元では、「安倍一強政治」とリフレ政策の弊害が鮮明になっている。「魚は頭から腐る」という。日米政治の混迷は世界リスクになっている。

外交をディールとみるリスク

 トランプ大統領は外交にもビジネスマンの手法を取るとよく言われる。しかし、それは正確ではない。本物のビジネスマンなら長期的視点を重視するはずだ。トランプ流の外交は目先のディール(取引)である。成果を求めてはったりを利かす手法は、外交の常道から大きく外れている。自分本位な言動は長期的な国際関係を損なうことになる。

 米朝首脳会談によって、非核化など北朝鮮危機の打開を目指すのはいいが、成果がないなら会談しないなどというのは、外交の原則から外れる。国務長官に指名しているポンぺオ中央情報局(CIA)長官を「極秘」に訪朝させたが、首脳会談の事前調整がなぜ極秘である必要があるのか。劇的なニクソン訪中を前にしたキッシンジャー秘密外交とはまるで違う。「ポンペオ国務長官」の議会承認が危ぶまれるなかで、ポンペオ氏を売り出そうとする狙いなら、筋違いである。

北朝鮮を巡る力学読み違え

 安倍首相は、中朝、南北朝鮮、そして米朝と続く多角的な首脳会談の大展開に、取り残されているようにみえる。予想もしなかった対話の季節が目の前で始まっているのに、ただ「圧力」を繰り返すだけでは戦略性にも柔軟性にも欠ける。核、ミサイルから拉致問題も含め何から何まで、トランプ頼みになっている。

 安倍政権は北朝鮮を巡る国際政治力学を読み違えてきた。北朝鮮危機の打開は、結局のところ、大国である米中の出方しだいで大きく動く。北朝鮮が相手と想定しているのは米国であり、最も大きな影響を受けるのは中国である。北朝鮮の同胞としての韓国の存在も大きい。一方の米国だけをあてにするのでは著しくバランスに欠ける。安倍政権の中国とのパイプは細すぎる。「中国包囲網」の思考から抜け切らなかったからである。日韓関係もぎくしゃくし続けている。日中、日韓関係の改善に積極的に取り組んで来なかったツケが、北朝鮮問題での出遅れにも表れている。

 日本が朝鮮半島の「非核化」に主体的にかかわろうとすれば、まず自ら唯一の被爆国として、核兵器禁止条約に参加するしかない。そのうえで、米中ロをはじめ核保有国に「核兵器なき世界」に向けて核軍縮を求めるのである。それが北朝鮮の核放棄につなげる道である。

中間選挙狙いの保護主義

 トランプ大統領のすべての政策は11月の中間選挙に照準を合わせている。劣勢が予想されるだけに、支持基盤固めに保護主義はエスカレートするばかりだろう。深刻なのは、その排外主義思想が欧州にはびこる極右ポピュリズム(大衆迎合主義)と通じている点だ。