EUはグローバル独占企業への課税強化もめざしている。20カ国・地域(G20)はアマゾン・ドット・コムなど電子商取引業者に対する課税強化を打ち出そうとしているが、EU案がベースになっている。インターネットで国境を越えて売買される電子書籍などの利益には、各国が法人税をかけられないが、EU案は国ごとの売上高に課税するというものだ。この課税強化が実現すれば、グローバル独占企業の展開にもかなりの影響が出るだろう。

 しかし、このEUの反独占の動きもG20全体の合意を取り付けられる保証はない。このままでは技術革新を先取りするグローバル独占企業は、さらに大きな影響力を発揮することになるだろう。

「グローバル独禁法」の制定を

 IT分野では「ウィナー・テイク・オール」(勝者総取り)が常識だという。しかし、これは健全な市場と資本主義の原則からはずれている。たしかに先行者利潤は認めなければ、独創的なイノベーションは生まれないが、「総取り」は行き過ぎである。小さな国家並みの資産を誇るグローバル企業家が当然のように巨額の寄付をするというのは、グローバル経済のゆがみを示している。

 各国ごとに富裕層への課税強化を進めるのは当然だが、それだけでは不十分だ。経済協力開発機構(OECD)が音頭を取って国境を越えた「グローバル独禁法」を制定すべきだろう。それこそがグローバル資本主義の健全な発展に資することになる。

「『中』の時代」をどう甦らせるか

 これ以上、強権政治家と独占企業家が世界を牛耳じり続けるのは危険である。世界が激変するなかで、民主主義のコストを支払わずに独裁的な決断をする強権政治は機能しやすい面があるだろう。グローバル経済の変化を先取りする決断は、サラリーマン経営者にはできず独占企業家ならできるかもしれない。しかし、その弊害もまた大きい。

 強権政治家とポピュリストのはざまで、苦闘する中道政治をどう復活させるか。資本主義の土台である中間層をどう復活させるか。「『中』の時代」をよみがえらせなければ、人類の知恵である民主主義と資本主義は空洞化しかねない。