EUは2016年のトルコのクーデター失敗後のエルドアン政権の強権化に、神経をとがらせている。とりわけ言論統制に強く警告している。最近、拘束され続けていたドイツの特派員をようやく解放したが、言論統制に変わりはない。マクロン仏大統領はエルドアン大統領との会談で「民主主義とは法の支配を完全に守ることだ」と警告した。

 中東でも混乱の要因になっている。トルコ軍はシリア北部の米軍が支援するクルド人民兵組織を排除するため空爆と地上作戦を開始した。「地域パワー」として存在感を示そうというエルドアン戦略が、中東危機を一層、複雑化させている。

跋扈するグローバル独占企業

 国際政治の舞台で習近平、プーチン、エルドアンら「強権政治家」が台頭する一方で、グローバル経済では、米国のITビッグ5など独占企業が跋扈している。これら独占企業が巨大な資金力を背景に買収を繰り返し、人工知能(AI)など技術革新を先行させ、追随を許さない状況になっている。

 独創的な技術革新をテコに新興企業が次々に生まれるはずだった米国で起業の芽が摘み取られる。独占の弊害は明らかになっている。米国のITビッグ5はグローバル展開がめざましいだけに、独占の弊害は米国にとどまらず、グローバル経済全体を巻き込んでいる。

米国のITビッグ5の1社であるアマゾンの創業者・CEO、ジェフ・ベゾス氏。(フォーブス誌の「世界で最もパワフルな人物 [2017年版]」から/写真:grinvalds/123RF)
米国のITビッグ5の1社であるアマゾンの創業者・CEO、ジェフ・ベゾス氏。(フォーブス誌の「世界で最もパワフルな人物 [2017年版]」から/写真:grinvalds/123RF)

EUは反独占に立ち上がったが

 跋扈するグローバル独占企業に対して、立ち上がったのはEUである。もともと欧州委員会の独禁当局は市場独占に監視の目を光らせ、EU域内外を問わず、カルテル行為などに巨額の罰金を科してきた。

 それだけにとどまらず、個人データ保護を大幅に強化する新規制を実施する。欧州の消費者や従業員など個人データを保有したりEU域外に持ち出す企業に保護体制を整備するよう求め、違反には巨額の制裁金を科すというものだ。EUに進出する日本企業も対象にされるから、対応に追われているが、EUの規制強化は、データ覇権をめざす米ITビッグ5に照準を合わせている。ビッグデータ時代の米EUの攻防ともいえる。

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