深刻なのは、白人至上主義で反イスラム色をあらわにするトランプ大統領の登場で「文明の衝突」が深刻化しかねないことだ。「文明の融合」こそが求められる時代にあって、多様性を認めず、寛容さを欠くトランプ大統領の言動は、世界中にリスクを拡散している。

同盟国としてどう付き合うか

 そんなトランプ大統領とどう付き合うべきか。11月の中間選挙で共和党はトランプ大統領による混乱で相当な苦戦を強いられるのは必至である。しかし、ロシア疑惑しだいだが、弾劾決議から大統領解任にいたる可能性はそう高くない。だとすれば、トランプ大統領を前提に、友情ある説得を続けるしかない。それが厳しい批判を伴っても当然である。

 米国が日本にとって最も重要な同盟国であることは揺るぎようがない。とりわけ北朝鮮が核・ミサイル開発をエスカレートするなかでは、日米韓の連携は死活的に重要であり、中国、ロシアとの協調も欠かせない。この地域に戦争が起きれば、日本が最大の被害国になるのは目にみえている。そうならないように、経済制裁など圧力を最大限に高め、朝鮮半島の非核化をめざして北朝鮮を対話の場に引き出すしかない。

 危険なのは、偶発的な紛争が起き、それがエスカレートすることだ。その引き金になりかねない挑発的な言動は慎まなければならない。安倍晋三首相は「圧力」を繰り返すだけでなく同盟国の友人として、この点はまずトランプ大統領に忠告すべきである。

 そのうえで、保護主義・2国間主義の防止を強く求めることだ。まず北米市場での日本企業のサプライチェーン確保に直結するNAFTAの見直しに注文をつけることだ。相互依存を深めるグローバル経済の現実を考えるとき、域外の交渉であっても遠慮は無用である。この点でEUと連携することだ。

 次に、TPPへの参加を求め続けることだ。先進的な自由貿易の枠組みをアジア太平洋で主導することこそ、米国の国益であることを説き続けるしかない。

 地球環境問題では、パリ協定への「復帰」を求め続けることだろう。それには環境先進国として「脱石炭」でトランプ大統領との違いを立証するしかない。

 カナダは米国をWTOに提訴し、英国はエルサレム宣言を受けてトランプ大統領の訪問を事実上、拒否した。同盟国、友好国だからこそのトランプ批判である。同じ同盟国、友好国として日本の姿勢が試されている。それを世界が見守っている。