「地球の敵」に「トランプ抜き」連合

 地球温暖化防止のためのパリ協定からの離脱でトランプ大統領は「地球の敵」になった。パリ協定に加盟していないのは、戦乱が続くシリアなど数えるほどしかない。パリ協定を主導してきたフランスのマクロン大統領は米国の離脱を受けて、「トランプ抜き」の体制作りを構築しようとしている。事実、米国内にはカリフォルニア州などトランプ大統領のパリ協定離脱に反発する自治体は多く、州や市を中心に、温暖化防止に積極的に取り組もうとしているのは、皮肉な「トランプ効果」である。環境意識しだいで資金調達にも響いてくるだけに、米企業も「脱トランプ」の戦略を打ち出さざるをえない。

 地球温暖化防止のカギを握るのは「脱石炭」である。トランプ大統領はこの潮流に逆行するように石炭産業への規制緩和を打ち出した。「環境より目先の雇用」を優先したのである。

 国際社会からの非難の目は、トランプ大統領だけでなく、石炭火力に回帰する日本にも向けられている。たしかに日本の石炭火力は温暖化ガスの排出抑制につながる技術がほどこされているが、いくら効率がよくても石炭火力は石炭火力である。これでアジアに輸出攻勢をかけるという戦略は、地球温暖化防止の潮流に明らかに逆行する。

 環境先進国だったはずの日本が「トランプ抜き」連合ではなく、トランプの側に立つようになれば、地球の将来を危うくしかねない。

中東危機を増幅、「文明の衝突」あおる

 トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムとし、大使館の移転を宣言したことで中東和平は遠のいた。それどころか米国の歴代政権がこれまで担ってきた中東和平の仲介者としての立場を喪失することになった。あえて乱を起こすトランプ流は、サウジアラビアなど中東の親米諸国まで困惑させている。

 イランの核合意を批判するのは、米英仏ロ中の国連常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランとの合意形成に水をかけ、中東だけでなく国際政治の根幹を揺さぶるものといえる。国連安保理事会でも米国は孤立を深めている。トランプ大統領の登場で、米国は冷戦時代のソ連のように「ノーという国」になってしまったのだろうか。

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