世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
現在はジャーナリスト/武蔵野大学国際総合研究所 フェロー。
シリーズ
岡部直明「主役なき世界」を読む

完結
88回
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G20を「地球の危機」防ぐ場に
地球温暖化は「今そこにある危機」である。トランプ米政権にパリ協定への復帰を迫るときだ。難民問題を「壁」建設でしのぐ自国本位主義は打破しなければならない
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2018年「中の時代」は終わるのか
2018年は、「中の時代」が終わった年として歴史に刻まれるかもしれない。「中道政治」期待の星だったマクロン仏大統領は正攻法すぎる改革が国民の反発を買い失速。寛大すぎる難民対策で欧州連合(EU)の盟主、メルケル独首相も求心…
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英国はEUに残留しユーロ加盟を目指せ
欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の大混乱が続いている。メイ首相は保守党党首の信任投票で信任されたものの、EUとの離脱協定が英議会で承認される見通しは立っていない。国民投票以来2年半に及ぶ大混乱は、英国にとってEUの存在が…
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米中「新冷戦」を防ぐ日本の重責
米中首脳会談でエスカレートする一方だった米中貿易戦争はとりあえず、「一時休戦」になった。しかし、米中がハイテク覇権争いから、安全保障がからむ「新冷戦」に踏み込む危険が完全に消えたわけではない。
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英国はEU離脱を再考する時
英国と欧州連合(EU)は英国のEU離脱(BREXIT)をめぐって大詰めの交渉を続けている。25日の緊急EU首脳会議で合意をめざしている。しかし、英国が当面「関税同盟」に残る合意案には、保守党内の強硬離脱派から反発が強まり…
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日米野球に映る激動の日米関係
今年の米チームはドン・マッティングリー監督のもと松井秀喜氏がコーチをつとめる。野球は融和の時代を迎えたが、激動を続けた日米関係は経済摩擦を超えて新たな時代を築けるだろうか。
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トランプ暴走に歯止めをかけられるか
米国の中間選挙では、上院は共和党が多数を維持したものの、下院は民主党が8年ぶりに過半数を奪還した。予想された結果とはいえ、選挙の最前線に立ったトランプ大統領の事実上の敗北といえる。
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メルケル首相はトランプ大統領に敗れたのか
悪貨は良貨を駆逐する」がいま、世界の政治に当てはまる。ブラジル大統領には「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右ポピュリストのボルソナロ氏が選ばれた。イタリアのポピュリスト連立政権は財政拡大路線を掲げ、EUに揺さぶりをかける…
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「新冷戦」で追い込まれての日中連携へ
安倍晋三首相と中国の習近平国家主席による日中首脳会談は、経済協力を最優先し連携することで合意した。トランプ米大統領が「経済冷戦」から「新冷戦」に踏み込むなかで、追い込まれての日中連携である。
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経済冷戦から新冷戦に踏み出すトランプ大統領
トランプ米大統領が冷戦終結と核軍縮を導いた歴史的な中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する方針を打ち出した。米中「経済冷戦」は米ロ中の「新冷戦」に足を踏み入れる危険がある。
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トランプ・ショックの世界同時株安
トランプ暴走の影響をまともに受ける米国の経済界、消費者、それに経済学者やジャーナリズムは、トランプ批判を徹底することだ。それは国際的責務でもある。日欧の同盟国もトランプ大統領を粘り強く説得するしかない。
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トランプ主義で世界に広がる極右ポピュリズム
トランプ主義が暴走するなかで、世界に極右ポピュリズム(大衆迎合主義)が広がっている。ブラジル大統領選では「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右のジャイル・ボルソナロ下院議員が首位に立った。
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物品貿易協定は「トランプ安倍連合(TAG)」か
安倍晋三首相とトランプ米大統領は関税を含む2国間協議である「物品貿易協定」(TAG=Trade Agreement on Goods)の交渉開始で合意した。TAGは「トランプ(T)安倍(A)グループ(G)」とも読める。
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米中覇権争いの狭間に沈む、英露の不都合な真実
米中間の貿易戦争は「覇権争い」の様相をみせてきた。その狭間にあって、2つの「大国」の没落が始まっている。かつての覇権国・英国と米国の覇権に挑んだ旧ソ連の後を継ぐロシアである。
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リーマン・ショック10年(下)資本主義が危うい
デジタル革命を先導するアマゾンなど米国のIT(情報技術)5強は独占の弊害が目立ってきた。問題はそれが格差拡大とポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭によって、民主主義の危機に連鎖しているところにある。
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リーマン・ショック10年(上)イラク戦争が遠因
それはリーマン・ブラザース破綻(2008年9月15日)の3日前、雨のウォール街で始まった。ウォール街を訪れていた筆者は、タクシーを拾ったが渋滞がひどかった。渋滞に巻き込まれた一人にポールソン米財務長官がいた。
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「トランプ主義」日米FTAに足を踏み入るな
米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)が存続の危機にさらされている。トランプ米大統領が提起したNAFTA見直しは、米墨間では合意したが、米加間では決着できなかった。
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米国とトルコ、強権大統領の経済音痴が招く危機
トルコでは、「金利は搾取の道具」と考えるエルドアン大統領が中央銀行を支配して利上げを認めない。制裁関税を課したトランプ米大統領もまた無知をさらけ出している。2大強権大統領の経済音痴が民主主義と資本主義に複合危機をもたらし…
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「脱欧入亜」へ漂流する英国
明治維新から150年。福沢諭吉の「脱亜入欧」は明治の基本思想だったが、日本が目指した英国はいま逆に「脱欧入亜」に傾斜している。欧州連合(EU)からの離脱(BREXIT)交渉は難航し、このままでは無秩序離脱を余儀なくされる…
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揺らぐFRBの独立、“トランプ戦争”通貨にも
国際政治、貿易から通貨、金融政策に広がるトランプ暴走は、基軸通貨としてのドルの信認を低下させる恐れがある。通貨戦争が拡大すれば、円にも波及せずにはおかないだろう。
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従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回