大野:はい、そうです。「自衛隊による国際貢献が武力行使と一体化するのではないか」「非戦闘地域はどこか」といった議論をさんざんやってきたにもかかわらず、改憲論議の俎上に乗ってこないのは不思議でなりません。

9条の前提に、国連の集団安全保障がある

大野:第3の問題が集団安全保障です*。日本国憲法は、集団安全保障を定める国連憲章42条と密接に関係しています。

*:国連憲章は2条で武力行使を禁止しているが、例外を2つ定めている。1つは同51条が定める自衛権の行使。もう1つは、同42条が認める集団安全保障

第42条
安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。
この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。

 日本国憲法を制定する今回審議が進んでいた当時、日本政府もGHQ(連合国総司令部)のダグラス・マッカーサー元帥(当時)も、国連が主導する集団安全保障の理想が機能し、有事の際には国連軍が日本を守ること想定していました。それゆえ、日本の安全は国連に任せ、日本に全ての戦力を放棄させる9条を憲法に盛り込んだのです。

 ちなみに、日本国憲法より遅れて制定されたドイツ基本法に9条のように戦力を放棄する規定はありません。自衛権についても明記しています。国連安保理の常任理事国が拒否権を有し、集団安全保障が理想通りには機能しないことが明らかになった後に作られたからです。その後も国連憲章42条に基づく国連軍は組織されたことがありません。

武力行使に至らない範囲で一層の国際貢献を

大野さんが提案された条文の詳細についてうかがいます。第1項はこの条で何を規定するかをまとめた宣言ですね。

大野:はい。