しばるべきは「自衛隊」ではなく「自衛権」

そのためには9条をどう改めればよいのでしょう。

山尾:安倍晋三首相は9条に自衛隊を明記すると言っています。しかし私は、コントロールすべきは「自衛隊」ではなく「自衛権」だと考えます。そのための改正は9条にとどまりません。例えば、国会が自衛権をコントロールするための条文が必要になるでしょう。同様に、司法によるコントール、財政によるコントロールを定める規定、憲法裁判所を設置する規定が考えられます。

 まず、9条に関しては、いわゆる旧三要件に基づいて個別的自衛権に限定することを明示的にすることを提案します。自衛権は今、透明人間のような存在で実態がない。これに実態を与え明文化することでコントロールが可能になる。

9条の条文は現行のまま残すかたちを取るのですか。

山尾:2つの考え方があると思います。第1は、個別的自衛権に限って行使できることを明記し、それを実行する限定的な「戦力」として自衛隊を認めるかたちを取る。第2は、現状の延長です。戦力の保持は認めない。しかし、個別的自衛権を行使する最小限度の実力として自衛隊を認める。
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 どちらを取るかは、議論して国民が判断することだと思います。私は第1の考えを支持します。

そして9条を改めた上で、内閣や国会、司法からのコントロールを明示するわけですね。

山尾:はい。

 行政からのコントロールを強める手段として73条の修正を提案します。

■第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

  • 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  • 二 外交関係を処理すること。
  • 三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  • 四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
  • 五 予算を作成して国会に提出すること。
  • 六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
  • 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。