安倍晋三内閣の支持率急落で、憲法改正の先行きは不透明感が増しつつある。自民党憲法改正推進本部の本部長代行である船田元・衆院議員は「動きに変化はない」としながら、9条に自衛隊の存在をそのまま明記する3項を加えるとの首相の考えに不安も抱く。自民党の代表的な憲法族の本音を聞いてみた。

安倍内閣の支持率が急落し、「安倍一強」と言われた政治情勢が変わり始めています。安倍首相が今年5月初めに突然、加速させ始めた憲法改正の動きは停滞するのではとの見方があります。どう見ていますか。

船田:5月に自民党総裁として、改憲に意欲的なビデオメッセージを出された時には、大変驚いて、唐突であると思いました。

船田元(ふなだ・はじめ)氏
1953年11月生まれ。祖父は衆議院議長、父は栃木県知事や参議院議員を務めた。79年、最年少の25歳で初当選。92年、39歳で経済企画庁長官として初入閣を果たした。その後、自民党を離党し、新生党や新進党に参加したが、97年に復党。憲法問題の専門家として知られ、党の憲法改正推進本部の本部長代行を務める(写真:清水 真帆呂、以下同)

 本当のことをいえば、最初の憲法改正で9条を手がけるのは、ちょっと難しいだろうと思っていたので、(与野党による国会の)憲法審査会では、それ以外の項目で絞り込みをやっていました。

 これが「のろい」とか「止まっている」というつもりはなかったんですけれども。まあ、総理のそういう発言があったことで、改正の動きが少し加速されたという点は否めないと思いますね。

 そして東京都議選で、自民党は敗北したわけですが、安倍首相も年末までに自民党の改正に対する考え方をとりまとめるように指示されていることだし、(憲法改正への)動きに変化はありませんね。

「首相の発案は悪いものではない」

安倍首相は、9条に自衛隊の存在を明記する3項を加えるといった形で改憲のテーマをはっきりと示しました。自民党の憲法改正推進本部長代行としてはやりにくかったのでは。

船田:与野党で憲法改正を議論する衆院の憲法審査会では最近は、9条とか教育の無償化以外の部分を中心にしてきました。戦争、大規模自然災害などで内閣や国会の機能が大きな影響を受けた際に対処するための緊急事態条項や参院の合区問題に関わる1票の格差、あるいは環境権などをメインに、野党と話し合いをしてきたので、(首相の発言には)我々とすれば非常に驚いたというのが正直なところでした。

 そういう議論に基づいて絞り込みをさらにやっていこうという矢先でありましたので、少し面食らったことは事実です。