戦前・戦中の統制を思い出させるものですね。

西:戦前・戦中は、権力の規制に十分な配慮がされていなかったという欠陥がありました。世界を見渡して、この条項を欠いた憲法はほとんどありません。1990年2月以降2017年4月までに制定された103カ国の憲法を調査したところ、103のすべての憲法が国家緊急事態条項を盛り込んでいます。

 国際人権規約(B規約)も4条で、国家緊急事態条項を認めています。
(1)国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、 この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。 ただし、その措置は、当該締約国が国際法に基づき負う他の義務に抵触してはならず、また、人種、皮膚の色、性、言語、 宗教又は社会的出身のみを理由とする差別を含んではならない。

 ただし、生命に対する権利、奴隷・強制労働・拷問の禁止、思想・良心・宗教の自由などは違反してはなりません。

 私は憲法に盛り込む国家緊急事態条項について以下の案を持っています。

国家緊急事態条項の案
第○章 憲法秩序の保障
第○条 国家緊急事態の宣言
内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃、内乱、組織的なテロ行為、大規模な自然災害、重大なサイバー攻撃その他の国家緊急事態が発生したと認める時は、法律の定めるところにより、国家緊急事態を宣言することができる。この国家緊急事態の宣言は、事前に、また特に緊急の必要があり、事前に国会の承認を得るいとまがない時は事後に、国会の承認を得なければならない。
第○条 国家緊急事態における措置、国民の協力
①内閣総理大臣は、国家緊急事態が宣言された時には、事態の緊急性が真に必要とされる限度において、緊急かつ必要な措置を講ずることができる。
②前項の措置を講ずるにあたっては、この憲法が保障している法の下の平等、思想及び良心の自由、信教の自由、表現の自由、遡及処罰の禁止その他、人としての尊厳を侵す制約を課してはならない。
③国民は国家緊急事態が宣言され、事態の措置のため協力を要請された時には、必要な協力をするよう努めるものとする。
第○条 国家緊急事態の解除
内閣総理大臣は、国会で国家緊急事態の宣言について承認が得られない時、または宣言の必要がなくなった時には、すみやかに宣言を解除しなければならない。

 国民にとって、国の平和と安全な暮らしが最も大切です。それらが侵されないようにするには、安全保障装置が必要です。また実際に侵されたとすれば、憲法秩序の回復措置が必要です。それが自衛隊の明記と国家緊急事態条項の必要性につながるのです。