私案は勝手な解釈変更をさせないため
しかし、枝野さん自身も2013年に、必要最小限の集団的自衛権を容認する形の9条改正私案を発表しています。安倍首相の「改憲案」に対する批判と、枝野さんの本来の考え方とはどう整合するのですか。
枝野:私の案は安倍首相のような人たちが勝手な解釈変更、立憲主義違反をやりかねないとみていたから、そういうことをやらせないために条文で縛ろうというのが主張でした。
だから、今回の出来事は「ほらやってきた」という感じがします。9条に新しい条文を加えるかがメインテーマではありません。自衛隊が何をどこまでやるか、やれるか、そっちが問題なのです。そして、それをどう条文で表現するかということ。政治のリアリズムとはそういうことです。
民進党の中は意見が違いすぎて、枝野さんのような意見は通るのですか。
枝野:我が党は専守防衛を貫き、地球の裏側まで行って戦争をすることは認めません。だから、私の私案もそれを固定化するような(安倍首相の)話とは似て非なるものです。
首相は「自衛隊を違う存在にしようとしている」
国民の多くは自衛隊そのものを認めていますが、9条改正となると賛成は50%そこそこという世論調査があります。なぜそうなるのでしょうか。
枝野:安倍首相、自民党の本音は従来の自衛隊ではなくて、違う自衛隊にしようとしているということ。それを国民は感覚的に分かっているのではないでしょうか。
専守防衛で70年近くやってきた自衛隊をそのまま認めるなら賛成だけど、そうではない。そんなようなことを安倍首相は言っているけど、実際にはそうではないでしょということをみんな見抜いている。
だから議論すればするほど反対が増えるのです。逆に言うと、今までと変わらないならなぜ、そんなところに力を入れないといけないのですか。
他にも財政、経済、社会保障など大問題はたくさんある。安全保障だって、別に憲法の条文を変えたからといって北朝鮮からのミサイルを打ち落とせるわけではありません。それは皆多くの国民が分かっているのです。
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